コースで自分探しの旅してない?ミスはしょうがない、と割り切って!
石井良介のゴルフ・すべらない話:第34回
石井良介の一面を一人語りという形でお届けする連載企画「石井良介のゴルフ・すべらない話。今回は、コースでプレーする時と練習するときは、どんな考え方でいるべきか。精神論というか、気持ち・心の姿勢についてのお話です。
写真/ゴルフサプリ編集部
アマチュアゴルファーはミスが出ると引きずり続ける
アマチュアの方とラウンドしてよく思うのは、みんな起きたことを、いちいち真正面から受け止めすぎ、ということです。例えばレッスン中に、僕がティショットをパーンと曲げたあと、2打目をグリーン周りに運んでアプローチして何とかパーをセーブしたとします。すると決まって「何でそんな簡単にパーが取れるんですか?」と聞かれます。
決して簡単に取っているわけではありませんが、ひとつ言える答えがあるとすれば、ティショットを曲げたことに対するショックを受けていないから。やってしまったことは事実です。でも、次の瞬間に「OBじゃないからいいや。どこかに出して頑張ろう」と割り切っていて、出てしまったミスに過剰反応していない。反応するとしても、せいぜい「次は気をつけよう」くらいのものです。
ところがアマチュアゴルファーのみなさんは、そこから“自分探しの旅”がはじまります。「こんなはずじゃないのに」とか「朝の練習では真っすぐ飛んでいたのに……」とかやりはじめるのです。これはよく使う例えですが、スマートホンはみんな毎日欠かさずいじっていますよね。でも、文章を打つと必ずミスタイプします。何で毎日やっているのにミスタイプするのでしょう? 毎日やっているのだからミスなんかしないはずなのに……。
この理屈からすれば、ゴルフなんて毎日やっているわけじゃないんですからミスして当たり前。失敗したって全然いい。むしろそれが普通で、なぜ「しょうがない」と割り切れないのかって話なんです。それに曲げたってOBとか池とかでなければ、そのままゲームを継続できるんですから。
そもそもゴルフは、ミスを繰り返しつつ、自分のリズムや流れを作りながら18ホールを渡り歩くゲームです。それなのに、みんなスタートホールで曲げると、そこから無理に何かをやろうとしてダボとかトリを打ってしまう。挙げ句の果ては、まだ何もやっていないうちに「今日はもうダメだ」となる。これはあまりにもったいないです。
マスターズ勝った松山の最終日は林に打ち込んでボギースタートだった
これも時々例に挙げることですが、マスターズで松山英樹さんが勝った時の、最終日の1番ホールって記憶にあるでしょうか? ほとんどの方は覚えていないと思いますが、林の中です。安全策で3Wを持ったのに、林に打ち込んで、出して寄せたボールがワンピンちょっとくらいに寄ったもののパーパットが入らずにボギー発進です。
マスターズに勝った人だってスタートホールで林に入れるんですから、僕らが入ったってしょうがないと思っていればいい。そこからのリカバリーだってゲームの楽しみのひとつだし、うまくいってパーが取れれば嬉しいし、取れなくたって次で頑張ろうでいい。もちろん、次に打つときは、やってしまったミスを繰り返さないように意識することは必要ですが、それもまた楽しみといえば楽しみだと思うんです。
でも、なぜか悪いことに過剰反応してしまう人が多いのは、日本人の気質なんでしょうか。ミスして怒りたい気持ちもわかりますが、怒ったところで仕方がない。もっと遊びに来ていることを思い出した方がいいと僕は思います。もちろん競技は別ですよ。でも、そうじゃなければゲームを楽しまなきゃ損。心のゆとりというのかわかりませんが、ラウンドでは自分に寛容でいいと思うんです。
そんなゴルフをするのに役立つかわかりませんが、僕はプロゴルファーだった父親に「練習は自分が一番下手だと思って真摯にやりなさい。その代わりコースに行ったら自分が一番うまいと思って堂々とプレーしなさい」と言われていました。父にはゴルフが下手だと言われたことは一度もありません。100を打っても言われませんでした。逆に上手くなったと言われたことは一度しかありませんが。
何もしなければヘッドスピードはどんどん落ちていく!? 飛距離を維持するために日常やっておくべきことは?
ヘッドスピードを落とさないようにするためには、ヘッドスピードを定期的に計測すること、ヘッドスピードアップの練習を継続...
一緒にラウンドした時に言われたことで、いまだによく覚えているのは「お前は頭が悪い」です。例えばOB、「アウトオブバウンズ以外にどういう意味かわかるか?」と父に聞かれました。僕が答えあぐねていると「お前はバカか? のOBだ」と言うんです。打っちゃいけないところに打った。だから「お前はバカか?」なんだというわけです。
「打ったんじゃなく、行っちゃったんだ」と言い訳すると、「そこに打ったから行ったので、やっぱりお前がバカなんだ」と取り付く島がない。「OBは急に動いてくるわけじゃない。そこにあるものなんだからちゃんと警戒しないといけない。行っちゃったのは、そこに行く可能性のあるクラブをお前が持ったから。それは警戒感が足りないということ。そこに行かないようにするにはどうしたらいいのか、もっと真剣に考えてプレーしないといけない」というのです。
危ないエリアがあると承知の上でリスクを負ってOBに行ったのなら仕方がない。利益を得るためにリスクを取らなきゃならないシーンも出てきますから。でも、この状況は違うだろと言われました。今になって思うと、おそらく父は、僕は頭が悪いのであって、ゴルフが下手なんじゃないと言いたかったのだと思います。その後も、いかにして自分のゴルフを想定の範囲内に置くか。こうしたらこうなるだろうという想定下でゴルフができるようになりなさいと口を酸っぱくして言われましたから。
当時の僕は、いわゆるシンキングゴルフができていませんでした。ラウンド数が少なく経験も浅いので無理からぬところですが、危ないところに打たない、くらいのことはできたはず。朝イチのミスで1日が終わってしまうようなマインドになる人を見ると、当時の僕を思い出します。
ドライバー長さ46インチは長すぎる!?【長くて軽くて軟らかい】時代は終わりかも
石井良介の一面を一人語りという形でお届けする連載企画「石井良介のゴルフ・すべらない話 というお話です。今回は、現代的な...
シャフトの「先調子」「中調子」「元調子」、年代別にどれが合うのか考えてみた!
クラブ選びのスペシャリスト・ダグ三瓶(みかめ)がアマチュアゴルファーへアドバイスをおくるコーナー。ゴルフクラブを買う...
ウェッジのバウンス角とロフト角には相性の良し悪しがあるって知ってた?
今回のテーマはバウンス角。バウンス角がどんな働きをしているかを改めて確認してもらうとともに、相性の良いロフトについて...
石井良介
いしい・りょうすけ。1981年生まれ。『令和の試打職人』として各種メディアに引っ張りだこの人気解説者。PGAティーチングプロA級。You tube「試打ラボしだるTV」が人気。早くからトラックマンを活用したレッスンを開始。高い経験値と分析力で正しいスイング、正しいギアへと導く指導と的確な試打インプレッションに定評がある。