今日の不調は“久しぶりのパター”のせい? 音と転がりが狂わせる距離感の正体
今野一哉の『ゴルフあるある』解決ディスカッション【37】
「今日はパターが入らない」「タッチが合わない」。そんな日の原因が、ストロークやライン読みではなく、久しぶりに使ったパターの“フィーリング”や“打球音”だったとしたら? いまどきの最新パターはフェース素材や構造の進化によって“よく転がる”ように作られています。一方で、ステンレスや削り出しパターから乗り替えると、音と感触が変わり、距離感がズレることも。今野一哉プロが「距離感は音で作っている」という観点から、パター不調の正体をほどきます。
気分転換に使ったネオマレットで大暴走? “いつもの感覚”が通用しないワケ
サプリ 先日、友人が「昨日のゴルフはパターのタッチが全然合わなかった」と言うんです。よく聞いたら、普段はスチールフェースのパターを使っているけれど、久しぶりにウレタンインサートのネオマレットを使っていたと言うんです。
今野 それはあるあるですね。フェース素材が変われば、まず音が変わる。音が変わると、距離感も変わります。
サプリ 僕も経験があるんですが、意外と本人は気づかずにやってしまうんですよね。
今野 そうなんですよ。本人は「今日は調子が悪い」ってストロークのせいにしがち。でも実際は、クラブ側の特性が原因になっていることが多い。特にパターは、フルショットみたいに“飛距離の誤差”が許されない。1メートルの違いが3パットに直結しますから。最近のパターは“転がりがいい”。言い換えると、同じストロークでも「もうひと伸び」することがある。
サプリ ウレタンインサートって、音が静かで「飛ばない(初速が遅い)」感じがするのに、実際にはそんなことなかったりしますよね。
今野 そう。あれが罠です。フェース素材とボール、ウレタン同士で当たると、理屈としては反発が最大化されやすい。だから感触は柔らかいのに、ボールはスッと伸びる。
サプリ 感触と結果がズレる、と。
今野 そうです。「この感じなら届かないだろう」と思って打つと、実際は届きすぎて大オーバーの”ロケットパット”になる。ステンレスの“カーン”という音に慣れている人ほど、ウレタンは危ない。
サプリ ロケットパット、わかりやすい(笑)。
今野 でも本当に起きます。理由は簡単で、音が出ないから「もっと打たなきゃ」となるんです。
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距離感の正体は“打球音の記憶”だった
サプリ 音で距離を合わせるって、実感としてはあります。
今野 人って、例えば10フィートのグリーンで「この音がしたら10メートル」みたいな、自分の中の基準音があるんですよ。だから音が変わると、基準が崩れる。
サプリ じゃあ、ウレタンからスチールに戻したときは逆にどうなります?
今野 逆は起きにくいです。なぜなら、上級者向けと言われるパターは基本的に“飛ばない=初速が速すぎない”から。ウレタンからスチールに替えた時には、届かないミスは出るかもしれないけど、ロケットパットほどの事故にはなりづらい。
サプリ なるほど。
今野 音が大きいと「強く打つのが怖い」から、自然に丁寧に打つようになるということもあります。
“いい転がり”ってどんな転がり?
サプリ ところで「いい転がり」って結局なんなんですか? 順回転とかスリップが少ないとか、科学的な説明も多いですけど。
今野 本来は「入る予感がある転がり」みたいな、もっと感覚的な言葉だったと思います。インパクトの瞬間に“入る”と確信できる、それが“いい転がり”。
サプリ 打つ前から雰囲気がある、みたいな。
今野 そう。そこをサイエンスに落とし込んだ結果、芯を広げようとか、アライメントを強くしようとか、素材で音を消そうとか、設計が進化した。でも一方で、プレーヤー側は音の基準を失って迷子になることがある。
サプリ フェースのどこに当たっても同じ音で、芯で打った時と変わらない転がり。ドライバーやアイアンでも、どこに当たってもそれなりに真っすぐ飛んでくれる。そうしたクラブの進化を、感覚と結果が噛み合わないと敬遠する上級者もいますよね。
今野 そうです。良いあたりの基準がハッキリしなくなってしまいますからね。
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サプリ 気づかないでフィーリングの事故を起こすのって、パター以外でもありますか?
今野 あります。例えばアイアン。ロフトが立って飛ぶアイアンは、だいたいフェースが薄くて音が高い。音がうるさいと、合わせ始めてヘッドスピードを落とす人が出てくる。まず疑うべきは「今日の自分」より「今日のクラブ」。替えたなら、替えた前提で一回リセットした方がいい。
久しぶりのパター変更は、腕前ではなく“距離感の基準”を狂わせます。特にウレタンインサートは「柔らかいのに伸びる」ため、音と感触の距離感のズレを誘発しやすい。自分の距離感が“音の記憶”で作られていると理解できれば、「今日は不調」と決めつける前に、クラブの違いを冷静に確認できるはずです。
今野一哉(こんの・かずや)
JGTOツアープレーヤー。18GOLFプロデュース / キッズゴルフ代表。アマチュアゴルファーの指導やジュニアゴルファーの育成に力を注ぎながら、各ゴルフメディアで活躍中。蝶ネクタイスタイルはゴルファーへ「サービスし、尽くす」と言う意味を表す。
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