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方向性がもっとよくなる「スクエア感覚」を身につけよう

向江寛尚の 「知っ得!! アイアン・スキルアップ学」 Vol.8

2020/10/07 ゴルフサプリ編集部

“読むと得する”ゴルフの知っ得ネタを向江寛尚プロが届けてくれるシリーズ。アイアンショットの方向性を安定させるにはスクエアなアドレスを作ることが大前提だが、自分の気づかないうちにカラダが間違った方向を向いてしまうケースが多い。そこで今回はスクエアに構えるコツについてのレッスン。

向江寛尚
むかえ・ひろたか/1972年11月11日生まれ、東京都出身。法政大ゴルフ部を経て99年プロ転向。多くのトーナメント出場の経験を積み、2005年からレッスン活動を開始。現在はオンワードゴルフアカデミー(東京都世田谷区玉川)を拠点に多くのアマチュアゴルファーをレッスン。クラブの造詣も深い。

スクエアなアドレスは、自分のカラダが目標よりも左を向くのが正解

ルーティンワークの習慣化でスクエアに構えられるようになろう

アイアンに限らず、ドライバーなど他のショットでもスクエアに構えるのが基本中の基本です。自分の打ちたい球筋によってはクローズスタンスやオープンスタンスに構える場合もありますが、ボールと目標を結ぶターゲットラインに対して平行に立つのがもっとも方向が安定しやすいアドレスの条件といえます。

ところが、自分では目標に対してスクエアに構えたつもりでも、グリーンの右や左に外してしまうことがよくありませんか? ミスショットが出たときは必ずといっていいくらい同伴のゴルファーに、「今のショットは右を向いていたよ」と指摘されませんか?

自分の気づかないうちにカラダが目標の左を向いてしまう人も中にはいますが、私のこれまでのラウンドレッスンの経験からいうと8〜9割近くのゴルファーは目標の右を向いてしまうことが多いのです。そのまま打つとボールは目標よりも右に飛びやすいですし、ときによっては本能的にアジャストしようとしてインパクトでフェースをかぶせて打つと、ボールは左に飛んでしまいます。

カラダが間違った方向を向いていることに気づかないままスイングしても、カラダの向きの誤差を本能的に察知してアジャストスイングしても、ボールは狙った方向に飛んでくれないわけです。その点、スクエアに構えれば何の違和感もなくスイングできます。カラダがスムーズに回転しやすく、クラブが気持ちよく振れてグッドショットの確率がアップします。

「どうして真っすぐ向けないのでしょうかね?」とアマチュアの皆さんによく聞かれますが、その理由としては遠くの目標ばかりを見て、自分が目標を向こうとするからです。円形の標的に向かって投げ矢を当てるダーツってありますよね。これはカラダを標的に正対させた姿勢を作りますから方向のズレは少ないのですが、ゴルフの場合はカラダを目標に対して90度真横を向いた姿勢を作るところにゴルフの難しさがあるのです。

スクエアに構えるにはどうすればいいかというと、アドレスを作るルーティンワークを大事にすることです。アイアンでもドライバーでも、まずボールの真後ろから目標方向を見てターゲットラインを明確にイメージしましょう。そしてボールの50ヤードくらい先にボールを通過させたいポジションを決めます。これはボールの出球を安定させるための指標となります。写真でいえば前方のティーイングエリア上に見える白いティマーカーです。

その場所からボール側にターゲットラインをなぞり、ボールの50センチか1メートルくらい先に目印を想定しておきます。目印は芝の小さな切れ端でもいいですし、ディボット跡などを利用するといいでしょう。

アドレスを作るときは最初にフェース面を目印に向かって真っすぐ向けて、最初にイメージしたターゲットラインに対して肩や腰、スタンスが平行となるように構えます。目印はボウリングでいうスパットのようなもので、遠くからターゲットラインをなぞってボールの近くに仮の目標を設定しておくことでスクエアな構えが作りやすくなるのです。このルーティンワークをぜひとも習慣づけてください。

打つ前にボール目標を結ぶターゲットラインを明確にイメージしよう。
グリーンやピンに向かって方向正確なアイアンショットを打つにはスクエアに構えることが大前提だ。
ルーティンワークの手順としては、目標を決めたらボールへとターゲットラインをなぞり、ボールの50ヤードくらい先に出球を安定させる目印を見つけておく。この場合は 前方に見える白いティマーカーだ。
白いティマーカーからさらにターゲットラインをなぞり、ボールの50センチから1メートルくらい先にも目印を設定する。
アドレスを作るときは、最初にボールのすぐ先の目印にフェース面を真っすぐ向ける。
ボールの近くに目印を設定すれば、ターゲットラインに対して平行に構えやすくなる。

スクエアに構えたときはカラダが左を向いて見える

ターゲットラインに対してカラダを平行にセットすれば、スクエアなアドレスが作れたことになります。その体勢で遠くの目標を見てください。すると自分のカラダが目標よりも左を向いて見えますよね。実はこれ、目の錯覚なのです。目標に対して真っすぐ向いているのはボールとターゲットラインだけであって、自分のカラダはそれよりも手前側です。仮に1ヤード手前としましょう。だとすれば自分のカラダは目標よりも1ヤード左を向いているのが正しいわけです。

アドレスしたときのボールと自分のカラダの間隔の分だけ目標の左を向いて構えるべきなのに、カラダが開いているように感じやすいから、どうしても左肩を遠くの目標に向けてしまいがちです。そうするとスタンスと肩の向きが一致しないチグハグな構えとなり、様々なミスショットを引き起こしやすいのです。フェアウェイ右サイドがOBのホールではOBを避けようとしてカラダが左を向くこともありますが、これもまたミスの原因となります。

大事なのはスクエアに構えたときの視界に早く慣れることです。ゴルファーの感覚には個人差がありますが、ドライバーのように目標が遠いほどカラダが左を向いているように見えるでしょう。でもターゲットラインに対してカラダの全体を平行にセットしたなら、「これがスクエアな構えだ!」と信じること。私の感覚でいえばスクエアに構えたときは、150ヤードのアイアンショットで目標よりも15ヤードくらい左、250ヤードのドライバーショットなら25ヤードくらい左を向いているように見えますが、これがスクエアな構えの視界なのです。

自分が打ちたい距離の1割くらいは、目標の左を向いているように感じるといっていいでしょう。それを目標に対してカラダを向けようとすると実際には目標よりも10ヤードも20ヤードも右を向いてしまうことになります。

遠くの目標に向かって構えるよりも、目の前のターゲットラインに対して構える意識を持とう。
スクエアに構えたときに遠くの目標を見えると自分のカラダが開いているように感じられやすい。
カラダが開いて見えるからといって左肩を目標に向けると、実際は目標よりもかなり右を向いてしまう。

自分のカラダは「つねに目標よりも左」を徹底させよう

スクエアに構えることの重要性について、もう少し説明しましょう。アイアンショットの正確性を高めるために、カップまで1メートルのパットを打つときの場面を思い浮かべてください。カップまでストレートなラインとして、パターのフェース面をカップに真っすぐ向けて、カラダはラインに対して平行にセットしますよね。これが150ヤードのアイアンショットや250ヤードのドライバーショットを打つときの構え方の基本となるのです。

ゴルフの経験がまったくない方々に、「カップに真っすぐ向いてください」と言うと、カラダをカップに向けようとする人がいます。経験を積んだゴルファーなら、「これじゃカラダを右に向けすぎだよ」と思うはずですし、「でもインパクトでフェースをかぶせて打てば入るかな」などと考えるでしょう。カップのど真ん中から入れるにはラインと平行に立って、素直にストロークするのがベストだということもわかるはずです。

でもアイアンショットを打つときにカラダが目標の右を向いてしまうゴルファーは、初心者がカップにカラダを向けてしまうのとまったく同じことをしているのです。1メートルのパットを打つときもボールの先の50センチ付近にスパットを想定し、スパットにフェースを真っすぐ向けて、ラインと平行に立つ。ボールと自分のカラダの間隔分だけ、自分のカラダはカップよりも左を向く。この感覚の延長がアプローチショットであり、アイアンショットであり、ドライバーショットなのです。

目標までの距離が150ヤードであろうと250ヤードであろうと、自分のカラダは目標より1ヤードくらい左を向いていることには変わりません。結論を申しますと、目標までの距離によって左を向いて見えるように感じられる度合いは変化するけれど、自分のカラダはつねに目標よりも左を向いていなくてはならないということです。そこを正しく理解すればアイアンショットを打つときに、いつもスクエアに構えられるようになり、方向のミスが激減するはずです。

実際に打つボールの1メートル先においたボールをカップと想定して、スクエアに構える重要性を理解しよう。
フェース面をカップに真っすぐ向けて、ラインに対して平行に立つ。アイアンショットでスクエアに構えるのは、この感覚の延長だ。
1メートルのパットも、150ヤードのアイアンショットも自分のカラダはつねに目標の左を向く。これが方向を安定させる決め手となる。
アイアンショットでカラダが右を向いてしまう人は、1メートルのパットで左肩をカップに向けて構えているようなものだ。


取材・文/三代 崇
写真/圓岡紀夫
協力/高麗川カントリークラブ


向江寛尚の「知っ得!! アイアン・スキルアップ学」

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【シリーズ一覧】
●Vol.1:バウンスを使って打てばアプローチもバンカーもやさしい!
●Vol.2:バウンスを滑らせれば、アプローチはもっと簡単になる
●Vol.3:「バウンス」を使いこなせ バウンスの役割と活かし方
●Vol.4:目指すは90切り! 気持ちよくグリーンに乗せよう!!
●Vol.5:アイアンショットが劇的にうまくなる4ステップドリルを公開!!
●Vol.6:曲げないことよりも、狙った方向に打ち出せるようになろう!
●Vol.7:距離感を安定させるコツは、「同じスピード感」で振ること
●Vol.8:方向性がもっとよくなる「スクエア感覚」を身につけよう
●Vol.9:「飛ばない」「上がらない」の悩みは「飛び系アイアン」で解消