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ゴルフは長い?この先プロの「選手生命」はどうなっていくのか

重箱の隅、つつかせていただきます|第29回

2022/12/29 ゴルフサプリ編集部

ゴルフ場

スイング、ゴルフギア、ルールなどなど…。ゴルフに関わるすべての事柄の“重箱の隅”をゴルフライター・戸川景が、独自の目線でつつかせていただくコラムです。

Text by Hikaru Togawa
Illustration by リサオ
GOLF TODAY本誌 No.607/106ページより

この先「選手生命」はどうなっていくのか?

重箱の隅イラスト

日本ツアーで女子だけでなく、男子ツアーでも20歳前後の若手の活躍が目立ち始めている中、金田久美子が11年半ぶりの2勝目を挙げたのを見て、今回のテーマを考えてみた。

他のスポーツ競技と比較すると、ゴルフの選手生命は長いように思う。とはいえ、コアと言える20代から40代まで安定して活躍できる選手はほんの一握りだ。

キャリアピークを境に前後10年活躍できれば一流、20年続けられれば超一流。30年以上となると、歴史に残るレベルだ。

世界的なツアー記録を眺めてみると、3ディケイズ、つまり3つの年代にまたがってメジャータイトルに勝利した選手は10人いる。

20世紀初頭のハリー・バードンとJ・H・テイラー、1970年代に絡むのは世界で100勝以上を挙げたゲーリー・プレーヤー、史上初めて100万ドルを稼いだビリー・キャスパー、メジャー18勝のジャック・ニクラス、シニアでも強さを発揮したリー・トレビノ、シニアとレギュラーで初めて同一年優勝したレイ・フロイド。近年ではアーニー・エルス、タイガー・ウッズ、フィル・ミケルソンが加わった。

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メジャー絡みでなければ、なんと4ディケイズでツアー優勝した選手もいる。USツアーでは4人。サム・スニード、レイ・フロイド、デービス・ラブIII、そしてフィル・ミケルソンだ。

ここで日本ツアーを見てみると、女子の樋口久子、ツアー制度施行前の戸田藤一郎も含めると5人いる。永久シードを獲得した杉原輝雄、尾崎将司、中嶋常幸で、日本のゴルフファンに〝40代でも頑張れるゴルフ競技〟という印象を強く与えたと思う。

この中で少し異質なのは戸田藤一郎で、第二次大戦以外にも不祥事による競技出場停止が10年ほどある。だから18歳で初優勝、56歳でも優勝しているが、30代後半からの40代半ばまでの活躍はない。

石川遼、勝みなみが15歳でツアー優勝を果たして以降、日本のシード選手の低年齢化が進んでいるように思うが、これから3ディケイズ、4ディケイズで活躍する選手は増えるだろうか。

〝太く、短く〟という「選手生命の在り方」

重箱の隅イラスト

競技生活のスタートが早いほど、身体の故障やメンタルの消耗で、引退も早くなる傾向がある。実際、すでに女子ツアーでは30代での引退が増えつつある。

ここで、少し別の「選手生命」の在り方を考えてみた。長くなくても、〝太く、短く〟でもいいのではないか、と。

ロレーナ・オチョアがプロツアーにいたのは20代の間だけ。その間に賞金女王3回、メジャー2勝を挙げ、世界ゴルフ殿堂入りを決めた。十分、選手生命を全うしたと言えるのではないか。

また、ゴルフならではの「競技人生後半でのピーク」を目指すのもアリかもしれない。シニアツアーでヘール・アーウィンやベルンハルト・ランガー、室田淳のようにレギュラー時代以上の勝ち星を挙げる。または尾崎将司のように、40代で復活劇を演じる選手がいてもいい。

こう考えると、引退後に再始動を考える選手が登場してもおかしくないはず。

今までは、40代でフェードアウト、50歳でシニアツアー参戦が競技復帰のような流れだったが、これからは30代で引退(燃えつき?)、40代で復帰という選手が男女問わず増えるかもしれない。

ゴルフは体力差よりも、技術力やマネジメント力で勝利を引き寄せられる要素が大きい。
身体能力の優位性で若手だけが活躍するスポーツではない、ゴルフならではの経験値を蓄えた〝いぶし銀〟の選手が増えるような流れを期待したい。

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戸川景(とがわ・ひかる)

1965年3月12日生まれ。ゴルフ用具メーカー、ゴルフ誌編集部を経て(株)オオタタキ設立。現在、ライターとしてゴルフのテーマ全般を手掛けている。


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