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楽器のヤマハがゴルフを始めたのはいつ?飛ぶドライバー「インプレス」デビュー秘話

【第27回】商品開発はドラマ!〝圧倒的な飛び〟を誇った鮮烈デビューから11年。不動のトップブランドに!

2023/03/26 ゴルフサプリ編集部

インプレスV、D、Gの3機種

ゴルフメーカーの商品開発におけるドラマチックな業界裏話を、メーカー勤務経験のフリーライター・嶋崎平人が語る連載企画。今回はインプレス(ヤマハ)が主役のストーリー。

GOLF TODAY本誌 No.610/78〜79ページより
写真/ゴルフトゥデイ編集部 取材・文/嶋崎平人

楽器のヤマハが、「人々に楽しさを」の理念を元にスポーツ事業参入。1982年、ゴルフ部門がスタートを切った

ゴルフHS事業部の建屋

天竜川駅徒歩10分に位置するヤマハ株式会社天竜工場。その一角に「ゴルフHS事業部」の建屋があり、屋内のテスト場も設けられ打撃ロボットやプロのテストが可能。

浜松駅からJR東海道線に乗り1駅。天竜川駅から歩いて10分のところに、広大なヤマハ株式会社天竜工場がある。

その一角に「ゴルフHS事業部」の建屋があり、中には高さ7〜8m、奥行き30mの屋内のゴルフテスト場が設けられているため、天候にかかわらず打撃ロボットやプロのテストが可能。

クラブ開発に大きな力を注いでいることがわかる。

ヤマハのゴルフ事業の歴史に残る「inpres(インプレス)」について、ヤマハ株式会社ゴルフHS事業推進部開発グループリーダーの柴健一郎氏、主幹の竹園拓也氏にお話を伺った。

竹園拓也氏,柴健一郎氏

「inpres(インプレス)」について話を伺った、ヤマハ株式会社ゴルフHS事業推進部開発グループリーダーの柴健一郎氏(右)と主幹の竹園拓也氏(左)。

このお二人はインプレスの立ち上げに深く関わられている。

天竜工場はヤマハの木工技術を生かし、現在は主に高級車のウッドパネルや産業用の精密機器を生産している。

元々はヤマハの木工技術でピアノなどを生産しており、天竜川に隣接する地の利を生かし、上流から木を流し利用する貯木場もあった。

では、ヤマハがゴルフを始めったきっかけはなんだったのか。ヤマハはそもそも楽器で「人々に楽しさを提供する会社」であったが、4代目社長川上源一が「スポーツも一つの大きな文化事業である」との考えでスポーツ事業に参入。アーチェリー、スキー、テニスなどからスタートし、1982年、ゴルフ部門がスタートを切った。

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「インプレス」の誕生

歴代のヤマハのクラブ
歴代のヤマハのクラブ。その歴史を変えた「inpres」のブランド名は造語で、「impression(印象)を与える」が元となっている。ヤマハの企業理念である「感動を・ともに・創る」に基づき、感動するといった内面的なものを実現するブランドとして再構築された。

最初のクラブはFRP技術を生かした、カーボンヘッドのドライバー「EXC-200」。1992年には業界に先駆けて鍛造チタンヘッドのドライバー「EOSTi-22」を発表している。

そして、1994年には新しい鍛造4ピース構造で自社工場生産し、それまで20万円台であったチタンドライバーを5万円台で実現した「PROTO FORGEDTi」を発売。1996年には楽器メーカーの個性を生かし、打感のよさを追求した「POWER MGIC( パワーマジック)」を発売し、1997年のサントリーオープンでは、このクラブを使用した藤田寛之がプロ初優勝を飾っている。

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クラブ事業を始めてからのヤマハは「技術的に新しく革新的なものを創れば認めてもらえるだろう」という技術を追求した。しかしながらその結果、時代を先取りしすぎて、顧客の支持を得られず、なかなかヒット商品はでなかった。

そのような状況を打開するため、新しくブランドを立ち上げるプロジェクトがスタートした。「お客様志向、ターゲットをしっかり見てニーズに応える」との考え方を主軸において、ゴルフ事業部門だけでなくヤマハ本体の経営企画も参画してじっくり議論を重ね、1年以上の時間をかけてブランドを作り上げていった。

そこで誕生したブランドが「インプレス」である。

インプレスV、D、Gの3機種
インプレスV、D、Gの3機種を用意し、その機能・性格を明確に。Vはプロ上級者、Dはこだわりを持つゴルファー、Gはアベレージゴルファーと商品ランインナップを層別している。

契約プロ藤田寛之が実証した、異次元の飛びをひっさげデビュー!

設計図
フェース面に高反発のβチタンを採用し、飛びに徹底的にこだわったモノ作りに注力。高反発で飛びをギリギリまで追求していたため、溶接部分、フェース面の耐久性など試験を何度も繰り返し作り上げた。

「インプレス」のブランド名は造語。「impression(印象)を与える」が元になっており、この商標は2002年7月に出願されている。「impression」そのものの商標も出願しているが、言葉が長いことやデザインの自由度を考え、新しく商標を創ったのだろう。

ヤマハの企業理念である「感動を・ともに・創る」に基づき、再構築されたブランドが「インプレス」である。

ブランド創りに合わせ、モノ作りにも取り組んだ。生産体制も見直し、自分たちで作ること、独自性にこだわりすぎず、お客様が求める飛び、高反発のクラブをパートナー企業と組みながら開発。

フェース面に高反発のβチタンを採用し、飛びに徹底的にこだわったモノ作りに力を注ぎ、高反発で飛びをギリギリまで追求していたため、溶接部分、フェース面の耐久性など試験を何度も繰り返し作り上げていった。

また、お客様志向を徹底し、ターゲットにあわせてモノ作りを行い、インプレスV、インプレスD、インプレスGの3機種を開発し、その機能・性格を明確にした。Vはプロ上級者、Dはこだわりを持つゴルファー、Gはアベレージゴルファー(だれでも楽しめるつかまりのよいもの)と商品を層別した。

新商品は15代目を数えるロングセラーに成長

ゴルフ事業の再構築をかけた「インプレス」は、2002年12月に発売。大きな追い風もあった。発売直前の2002年10月開催のANAオープンで、契約プロの藤田寛之が「インプレス」を使って尾崎将司プロと優勝争いをした。

飛ぶ方でない藤田プロが17番パー5の2打目を2オン可能な位置まで運び、その飛びを証明した。結果として尾崎将司が優勝し藤田プロは2位であったが、その年のアジア・ジャパン沖縄オープンで優勝、2004年の開幕戦東建カップでも「インプレス」で優勝した。

藤田は今でも「高反発のすごい飛びを感じて、あの感動をいまでも追い求めてしまう」と語るほど、高評価であった。

結果として、ユーザー、販売店からも飛ぶドライバーとして認知されたのだ。その後もインプレスは、2005年高反発ルールに適合した「inpres X」などの新商品を次々と投入し、ヤマハを代表するブランドに成長した。

手間をかけずに飛距離を伸ばしたいスマートゴルファーをターゲットにし、最新の2023年モデル「DRIVE STAR」で15代目を数える。まさにゴルファーに強い印象を与え、感動を生むブランドとなり、今なお成長を続けている。

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