ゴルフルールを深読み|バンカーでも小石や枯れ葉を取り除けるようになったが…
80台で回るためにも覚えておきたい!深読みルール
2019年より改正されたゴルフ新ルールでは、バンカーでも小石や枯れ葉を取り除けるようになった。ただ、むやみに取り除いたらペナルティーを科される事にもなりかねないので、注意が必要だ。
今回はその点を踏まえて、ルールの深読みをする。
バンカーでも小石や枯れ葉を取り除けるようになったが……
【規則15.1より】
・エリアに関係なくルースインペディメントは罰なしで取り除ける。
・ただし球をリプレースする場所にあるものを取り除くと1罰打。
・グリーンとティー以外で取り除く際に球が動いたら1罰打でリプレース。
〝あるがまま〟という考え方がベースにある
旧規則では、バンカーやウォーターハザード内ではルースインペディメント、つまり〝分離した自然物〟である枯れ葉や小石を取り除くことは禁止されていた。
ゴルフ規則の原則の〝あるがままに〟という考え方からすると、本来ならルースインペディメントも動かしてはいけない、ということになる。
だが、それではあまりにもプレーに支障が出る、ということから、ルースインペディメントと、動かせる障害物(人工物)からの救済処置が生まれたわけだ。
動かせる障害物は、本来コース内に存在しないもの。取り除いてしかるべきだし、その際に球が動いても無罰でリプレースできるのが公正である、という判断は理解しやすいだろう。
だが〝自然物〟はどうか。枯れ葉や小石は元々コース内にあるもの。取り除くことでライの改善や不当な利益を得ることにならないか、というせめぎ合いから、バンカー内とハザード内では取り除けないことが妥当、と思われていたようだ。
ハザード内なら、1罰打で救済を受ければいいはず。バンカーでは、砂に触れることも御法度なのだから、何も触らせないほうが余計な解釈トラブルを招かない、という判断があったのだろう。
ところが新規則ではハザードはなくなり、より広範囲なペナルティーエリアに移行。その中で打つ機会も増えるようになるはず。そこでルースインペディメントの扱いも変わることになったのだ。
リプレースする場所だけは取り除けない
打つ機会が増えるであろうペナルティーエリアだからこそジェネラルエリアと同様の救済を得られるのが公正である、という判断から、それならバンカーも同様にしたほうがわかりやすい、という判断が働いたように思う。
実際に、バンカーでも枯れ葉や小石を取り除けることで公正さが失われることはないだろう。ただしソールできるかどうかは別。砂地はソールすると明らかにライが変わってしまうので、そこだけは禁止のままで残されている。
ペナルティーエリアでジェネラルエリアと異なるのは、地面に食い込んだ球が救済を受けられないこと。つまり、ペナルティーエリアでは〝打てない〟状況はすべて1罰打でエリアの外にドロップすればいい、ということで、それ以外の救済はないと考えるべきなのだ。
さて、ルースインペディメントがコース内のどこでも取り除けるということになって気をつけるべきは、取り除けない条件が2つだけある、ということ。
1つは〝球をリプレースする場所〟である。救済のドロップをする場所などは事前に取り除いても構わないが、リプレースする場所だけは、ルースインペディメントも含め〝元の状態〟をキープしなければならないのが原則。
リプレースが〝元の場所に戻す〟わけだから、当然といえば当然で、これの違反は1 罰打。ライの改善とみなされるわけだ。
もう1つは〝動いている球に影響を及ぼす〟場合だが、このケースは稀だろう。
[関連]2019年 ゴルフ新ルールへ大改正!OB・ドロップ・パットなど変更点まとめ
イラスト/庄司 猛
GOLF TODAY本誌 No.565 115ページより
【シリーズ一覧】
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●旗竿(ピン)を立てたままパッティングできるようになったが…
●バンカーでも小石や枯れ葉を取り除けるようになったが…
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