ゴルフルールを深読み|損傷したクラブは修理して使えるようになったが…
80台で回るためにも覚えておきたい!深読みルール
2019年より改正されたゴルフ新ルールでは、損傷したクラブは修理して使えるようになった。ただし、ラウンド中の損傷でダフリや木の枝に当たってシャフトが折れた場合など、ホーゼル可変機構(いわゆるカチャカチャ機能)でシャフトの差し替えは可能だが、それは〝修理〟ではなく〝取り替え〟とみなされる。
今回は損傷したクラブの修理に関して、ルールの深読みをしよう。
損傷したクラブは修理して使えるようになったが……
【規則4.1より】
・外的影響、自然の力、または他人による損傷以外は取り替えができない。
・損傷の内容に関わらず、ラウンド終了まで“適合クラブ”として使用できる。
・ラウンド中の損傷前の状態に、できるだけ復元するよう修理できる。
損傷クラブの取り替えは現実的に不可能
6月の日本女子アマ最終日、JGAの役員が運転するカートが接触し、古江彩佳選手のクラブが損傷するという事件があった。
損傷したクラブはお気に入りだった3番ウッド。古江選手はこのショックにもめげず、スコアを伸ばして5位でフィニッシュしたが、このコラムでは損傷後の対応について見直してみよう。
損傷したクラブは、大抵の場合プレーに適さない〝不適合クラブ〟となる。旧規則では、怒りにまかせて叩きつけたパターのシャフトが曲がったら、即使用禁止。取り替えることも認められなかった。通常のプレー中の損傷の場合のみ、使用継続か、取り替えることができた。
だが、取り替えが可能だとしても、現実的に一般プレーヤーには都合よく別のクラブを調達できる可能性はほとんどないはず。
そこで新規則では、原則的に取り替えは禁止し、損傷の内容や原因に関わらず、そのラウンド中は損傷クラブを使用し続けることができるようにしたのだ。不当の遅延にならない範囲で修理もできる。
原因に関わらず損傷クラブを使い続けていい、というのもポイント。先程の事例の、叩きつけたパターのシャフトが微妙に曲がったことに気づかずに、そのまま打ってしまった場合、旧規則では〝不適合クラブ〟の使用で競技失格となる可能性があった。
そのため〝不適合クラブ〟になったかどうかの厳密な判断も求められたが、新規則では不要になったわけだ。
予備シャフトは〝修理〟ではなく〝取り替え〟に
さて、古江選手の3番ウッドはどうなったのか。たまたま自分の車のトランクに別の3番ウッドが積んであり、関係者に次のホールに届けてもらい〝取り替える〟ことができたという。
取り替えを禁止する新規則4・1b(3)の例外として、プレーヤー(そのキャディも含む)が損傷の原因となっていない場合、つまり今回のように他人の運転するカートが接触してバッグ内のクラブを折った場合などは、取り替えが認められるのだ。
とはいえ、我々一般ゴルファーの通常ラウンドでは、例外条件が当てはまっても取り替えを実行するのは無理だろう。そこで、損傷クラブを使い続けるための、修理についてもう少し考えてみよう。
ラウンド中の損傷で想定できるのは、ダフリや木の枝に当たってシャフトが折れたり、ウッドのヘッドが割れたりすることくらいだろうか。いずれも修理して使えるレベルではない。ソールに亀裂や、シャフトにヒビが入るレベルでも、テープなどで補強しても使う気にはならないだろう。実際に行えるのは、はがれた鉛の貼り直しとか、ホーゼルの緩んだネジの締め直し程度だろう。
最近のホーゼル可変機構、いわゆるカチャカチャ機能でシャフトの差し替えは可能だが、たとえば折れたシャフトを同仕様のものと交換した場合でも、それは〝修理〟ではなく〝取り替え〟とみなされる。予備のシャフトがあったとしても、クラブの〝取り替え〟が可能な場面でしか生かすことはできないのだ。
[関連]2019年 ゴルフ新ルールへ大改正!OB・ドロップ・パットなど変更点まとめ
イラスト/庄司 猛
GOLF TODAY本誌 No.567 127ページより
【シリーズ一覧】
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●旗竿(ピン)を立てたままパッティングできるようになったが…
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