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ゴルフルールを深読み|球を探せる時間が3分以内と短くなったが…

80台で回るためにも覚えておきたい!深読みルール

2019/11/11 ゴルフサプリ編集部

2019年より改正されたゴルフ新ルールでは、球を探せる時間が3分以内と短くなった。「3分」は適切なのか、短いのか?
今回はその点を踏まえ、ルールの深読みをする。

球を探せる時間が3分以内と短くなったが……

【規則18.2より】
・プレーヤーかそのキャディが探し始めて3分以内に見つけないと紛失となる。
・3分経って紛失球となった球を打ってしまうと、誤球となり2罰打。
・誤球を訂正せずに、次のホールのティショットを打つと失格。

「3分」は適切なのか、短いのか?

8月開催のセガサミーカップ初日、13番パー5でティショットを曲げた谷口徹は、深いラフの中をキャディとともに球を探したが、なかなか見つからなかった。ルールの制限時間である3分が経ったと判断し、打ち直しにティへ戻ろうとしたところ、ギャラリーが見つけたとの知らせがあり、その見つかった球でプレーを続行し、初日を終えた。

だが翌日、谷口は球探しの時間が3分以上経過していたのでは、という懸念から、棄権することに決めた。

この事件には、ルールに従ってプレーするには〝覚悟〟が必要だということを、改めて思い知らされた。

谷口の、李下に冠を正さずという姿勢は素晴らしいが、このケースでの正解は、3分経過したか曖昧な状況で見つかった球は、すでに紛失球になったものと諦め、打ち直しに戻ることだったと思う。それなら1罰打で済んだのだ。

ここに、球探しの時間の考え方、気持ちの問題がある。「3分間は探せる」と考えるか、または「3分以内に諦める」と思えるか。

コースの状況にもよるが、打球が想定外の所へ飛ぶから、球を探すことになるはず。とはいえ、林の奥か、山の中にでも打ち込まない限り、そんなに時間がかかることはない。2分もあれば、十分ではないだろうか。

さらに言えば、旧規則の制限である5分も探せるのは、プレーが遅れる、後続組のパスが必要になるなど、逆にプレーヤーの心理的負担になるような気もする。

ライが悪いとたとえ見つかったとし ても、リカバリーで打数が増えそう?

諦める覚悟がプレースタイルを前向きにする

プレーファストを促進したいR&Aが、探す時間を5分以内から3分以内に変更したのは、こういったいきさつからだと思う。

もちろん、異論はあるだろう。ラフが深すぎる、風が強かった、ブラインドで落ち際が見えなかった……など、見失った球を探すのに、3分以内が厳しすぎるという声は、プロツアーからもある。

だが、あえて厳しく言わせてもらえば、紛失球の元凶は打球を追い切れなかったプレーヤー自身の問題と、コースメンテナンスの不備(深すぎるラフなど)によるものがほとんどだ。

また、2分以上探しても見つからないような場所では、それより時間をかけても見つからない〝ひどいライ〟の可能性が高い。

新規則ではペナルティーエリアを拡大することで、そういったライをカバーできる。その中で紛失するぶんには、前打地点まで戻らなくて済む。見つかったとしても、悪いライなら無理に打って打数を浪費しなくて済む。

球探しの時間短縮を云々する前に、コース運営側は、整備が追い付かない部分はペナルティーエリアでカバーするのが次善の策。プレーヤーは、同伴競技者と協力して打球を見失わないように努力すべきだと思う。

そのうえで、球探しは2分程度で諦める、という事前の〝覚悟〟を持てれば、前向きな姿勢で心穏やかにプレーを続けやすくなると思うが、いかがだろうか。3分ギリギリで見つかった球を、慌てて打つよりマシかもしれない。

[関連]2019年 ゴルフ新ルールへ大改正!OB・ドロップ・パットなど変更点まとめ


イラスト/庄司 猛

GOLF TODAY本誌 No.569 127ページより

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