ゴルフ上達関節調律師が解説「スイングが改善するカラダの使い方」|第8回 脱力を意識する
「もっとゴルフのスコアを伸ばしたい!」と日々練習を重ね、スイングに悩まれているゴルファーの皆様、スイングの時に骨や関節がどのように動いているか、考えたことはありますか?
実は、体の構造や動かし方の「知識」を得て「意識」して動くことで、スイングが変化し飛距離が伸び、痛みなく楽にクラブを振ることができるようになるのです。
スイングが改善する体の使い方の専門家として、個人サロンで「1回で平均15ヤード飛距離が伸びる施術」を行っている「ゴルフ上達関節調律師」の山本優子さんに、スイング改善のためのエクササイズや、日常生活での体の動かし方について連載でレクチャーしていただきます!
・第1回:ゴルフ解剖学
・第2回:『胸椎バンザイ』エクササイズ
・第3回:『胸椎でんでん』エクササイズ
・第4回:『頚椎くるくる』エクササイズ
・第5回:『仙骨ごろりん』エクササイズ
・第6回:目かくしゴルフ
・第7回:少しの「知識」と少しの「意識」で体は変わる!
・第8回:脱力を意識する
・第9回:呼吸を意識する
・第10回:動作の癖を意識する
ゴルフの後、体が疲れていませんか?
こんにちは。ゴルフ上達関節調律師の山本優子です。
第1〜7回の記事で、脱力関節調律®に基づいたスイングを改善するためのエクササイズをご紹介してきました。
私のメソッド・脱力関節調律®についてや、ゴルフをする上で知っていただきたい体の構造については「第1回:ゴルフ解剖学」をぜひご覧ください。
前回の第7回の記事で、少しの「知識」と少しの「意識」で体が変わることをお伝えしましたが、具体的に、日常でどんな意識をすればいいかをご紹介いたします。今回は「脱力」についてです。
ゴルフの後、体が疲れる
一口に「疲れる」と言っても、疲労にもいくつか種類があります。ここでは運動後の肉体的疲労に限定してお話しします。
体を動かすと筋肉のポンプ作用で血液が体の隅々まで巡ります。
血流がスムーズになると、各細胞へ酸素や栄養が行き渡り、老廃物の排出もスムーズになります。
結果として、筋肉の疲労回復が早くなり、また血流改善で体のコリなども和らげることができます。
つまり、ゴルフなどの運動をすることで、疲労回復できる可能性があるということです。
では、どうして運動後に疲労を感じ、疲れてしまうのでしょうか。
ゴルフに限らず運動する際に、常に筋肉に力が入り緊張状態が続いていると、血流が悪くなります。スムーズに細胞へ酸素や栄養が運ばれず、老廃物も排出されません。
筋肉の緊張が強くなり、血流が悪くなり、疲労を溜め込んでしまうのです。
そのような状態だと運動後にさらに疲れてしまうことになります。
さて、ゴルフをする場合でも筋肉に無駄な緊張がない状態であれば、体内の血液循環が良くなり、酸素や栄養素が細胞に運ばれ老廃物も排出されるので、疲労が回復するはずなのです。
人は本来、常に動き続けていた動物です。
正しく動けば動くほどに楽にスムーズに動けるようにできています。
そして、関節を動かすことで「関節液」という関節を滑らかに動かすための潤滑液を分泌するので、よりスムーズに動くことができるようになります。
つまり、ゴルフをすればするほど、体は疲れるどころか、楽になり、動きも軽くなります。
特に、ゴルフでよく動かされる背骨周りや肩こりは楽になるはずなのです。
ポイントは「脱力」と「正しく動かす」ことです。
ゴルフはもちろん、水泳やランニング、ダンスなどどんなスポーツにも同じことが言えます。
洗濯や掃除、散歩などの日常生活の動作でも同じです。
体を正しく動かすことで体が楽に動く感覚を体感できるのです。
回旋動作のポイントは脱力
ゴルフの指導を聞いていると
「もっと手先の力を抜いて」
「脱力して」
「腕はだら〜んと」
などといった言葉が聞こえてきます。
繰り返しになりますが、
ゴルフ上達のポイントのひとつが「脱力」です。
脱力することは、あらゆる動作をする際のポイントとなります。
「脱力が苦手なんですよ」
「脱力が大事だとわかっていてもうまくできません」
「脱力って難しいですね」
「なかなか体の力みが抜けないです」
こんな声をよく聞きます。
脱力することができずに悩んでいる方はとても多いです。皆様、がんばりすぎなのです。
脱力して無駄な緊張が取れるだけで、痛みや不調を取り除くことができるのです。
私の開発した治療法は「脱力関節調律®」と言いますが、この治療名にも脱力というワードを入れているように、楽に動かすためには「脱力」が大切なのです。
膝の痛みで杖をついて歩いていた70代男性が、膝周りの緊張を取り除くだけで、痛みなく歩けたという例もあります。
脱力とは重力に体を預けられる状態です。
そして脱力するための第一歩は、ご自身で力が入っていることに気づくことです。
腕を肩の高さまで持ち上げて、力を抜こうと思ったらストンと腕が落ちてくるようであれば、腕の周りの筋肉を脱力できている状態です。
腕が肩の高さで止まったままだったり、腕が落ちても、途中で止まったりしている状態でしたら、力が抜けていない証拠です。
施術中、私がお客様の腕や脚を持ち上げて手を離すと、重力に任せることができず、腕や脚が浮いてしまい、ご自身の力の入り具合に驚かされる方も多いです。
そのぐらい、無自覚に体の緊張が抜けない方が多いのです。
ゴルフでは、体幹の回旋動作が大切になりますが、背骨周りが脱力できていないと、うまく回旋させることができません。
そのため、背骨周りを脱力させることがゴルフ上達のポイントになります。
脱力とは、重力に身を任せられる状態。
重力に体を完全に預けるのです。
背中の下、膝の下、首の下が地面から浮かないよう脱力
仰向けになった時に、背中の下、膝の下、首の下が地面から浮いていませんか?
地面から浮いているということは、重力に対抗して力を発揮しているということです。
まずはこの隙間を埋めることで、脱力状態を体験してみてください。
空気圧の抜けたゴムボールやタオルなどで、地面から浮いた隙間を埋めてあげると簡単に脱力を体感することができます。
このように背骨周りを脱力してから、先にご紹介した胸椎や頚椎、仙骨のエクササイズを行うとより効果的です。
是非試してみてください!
監修:ゴルフ上達関節調律師 山本優子(やまもとゆうこ)
1992年生まれ、神奈川県出身。大学で医療と運動指導について学び、柔道整復師と日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナーを取得。大学卒業後、パーソナルトレーナーなどの経験を経て、脱力関節調律®︎を独自に開発。2018年に個人サロンnaturacaを設立し独立。口コミだけで年間1000件以上の指導実績がある。2019年4月に自著『目かくしゴルフ』を出版し、一般社団法人日本脱力関節調律協会を設立、代表理事に就任。
naturac
一般社団法人日本脱力関節調律協会
取材・編集/ゴルフサプリ編集部 坂本緑
関連リンク
・第1回:ゴルフ解剖学
・第2回:『胸椎バンザイ』エクササイズ
・第3回:『胸椎でんでん』エクササイズ
・第4回:『頚椎くるくる』エクササイズ
・第5回:『仙骨ごろりん』エクササイズ
・第6回:目かくしゴルフ
・第7回:少しの「知識」と少しの「意識」で体は変わる!
・第8回:脱力を意識する
・第9回:呼吸を意識する
・第10回:動作の癖を意識する