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ゴルフ上達関節調律師が解説「スイングが改善するカラダの使い方」|第9回 呼吸を意識する

2019/10/16 ゴルフサプリ編集部

「もっとゴルフのスコアを伸ばしたい!」と日々練習を重ね、スイングに悩まれているゴルファーの皆様、スイングの時に骨や関節がどのように動いているか、考えたことはありますか?

実は、体の構造や動かし方の「知識」を得て「意識」して動くことで、スイングが変化し飛距離が伸び、痛みなく楽にクラブを振ることができるようになるのです。

スイングが改善する体の使い方の専門家として、個人サロンで「1回で平均15ヤード飛距離が伸びる施術」を行っている「ゴルフ上達関節調律師」の山本優子さんに、スイング改善のためのエクササイズや、日常生活での体の動かし方について連載でレクチャーしていただきます!

第1回:ゴルフ解剖学
第2回:『胸椎バンザイ』エクササイズ
第3回:『胸椎でんでん』エクササイズ
第4回:『頚椎くるくる』エクササイズ
第5回:『仙骨ごろりん』エクササイズ
第6回:目かくしゴルフ
第7回:少しの「知識」と少しの「意識」で体は変わる!
第8回:脱力を意識する
第9回:呼吸を意識する
第10回:動作の癖を意識する

回旋動作と呼吸の関係

こんにちは。ゴルフ上達関節調律師の山本優子です。
少しの「知識」と少しの「意識」で体が変わることをお伝えしていますが、引き続き、日常生活でどんな意識をすればいいかをご紹介いたします。
今回は、ほぼ無意識に行っている「呼吸」とゴルフの動きとの関係についてです。

私のメソッド・脱力関節調律®についてや、ゴルフをする上で知っていただきたい体の構造については「第1回:ゴルフ解剖学」をぜひご覧ください。

体が硬くて捻りづらい理由

スイングは体を捻る動作です

ゴルフのスイング動作は体を捻る動きです。
体幹部の回旋可動域が低いと、体が捻りづらくスイングが思うように振り切れないと思います。
また、回旋可動域に左右差があると、腕や肩が無駄に頑張ってしまうことになりかねません。

何故、体幹部の回旋可動域が少なくなったり、左右差が生まれたりしてしまうのでしょうか。
これもまた、正しく体を使うことができていないからです。

体幹部のうち、回旋が得意なのは、腰(腰椎)ではなく胸(胸椎)です第2回の記事参照)。
回旋が得意な胸部の背骨(胸椎)の動きが悪いために回旋可動域が出ないのです。

回線動作が得意なのは胸椎です!

回旋が得意ではない腰部の背骨(腰椎)を無理に動かそうとするから腰を痛めてしまいます。
しかし胸椎の動きが悪くなってしまい、体幹の回旋可動域が出ない方は少なくありません。

可動域を出すためには、振り向く時、後方の物を取る時など、日常の体を捻る動きも手や指先からではなく、体の中心から動かす意識をしてみてください。
また、前の記事でご紹介した胸椎のエクササイズも効果的です。

第2回:『胸椎バンザイ』エクササイズ
第3回:『胸椎でんでん』エクササイズ

可動域が広がった状態でスイングの感覚に慣れると、飛距離も伸び、スコアも安定します。

呼吸も関係しています

呼吸をして肋骨の動きを意識

さて、胸椎の動きが悪くなる理由として「呼吸」も関係しています。

胸部の背骨である胸椎の特徴は、肋骨と関節を持つことです。
肋骨はどのような時に動くがわかりますか?

それは呼吸する時です。

呼吸をして肋骨が動くと、隣り合って関節をつくっている胸椎が動きます。
しかし、現代はストレスなどが原因で、呼吸が浅くなってしまったり、呼吸が無意識に止まってしまったりする方も多いです。

そんな方は肋骨の動きが小さく、胸椎の動きも小さくなります。
その結果、胸椎周りが硬くなってしまい、動きづらくなるのです。
呼吸の改善で、回旋可動域がぐっとアップする方も多いです。

自分でどのような呼吸をしているのか、意識を向けてみてください。

呼吸が変われば日常が変わり、スイングが変わる

呼吸と回旋動作の関係について解説します。
まず、腕は体のどこの部分から始まっていると思いますか?

このように質問すると、肩のあたりを指す方が多いです。
しかし、正しくは、鎖骨の内側端です。

腕の始まりは鎖骨の内側端

顎から首をなぞるように下に指を下ろすと、喉仏を超えた少し下にくぼみがあるかと思います。
そのくぼみの左右にあるのが、鎖骨です。
つまり、腕はこのくぼみのあたりから始まるのです。

鎖骨を肩の方へ辿っていくと、背中側へ、肩甲骨へと繋がっています。
肩甲骨は上腕、手、指と繋がっていきます。
これが上肢帯と呼ばれる腕の全貌です。

では、今度は腕を動かすために力はどのように伝わるのが効率的でしょうか?
体は基本的に中心から外に向かって動きます。
体の中心の骨は「仙骨」でした。

骨盤の中央に位置する仙骨

仙骨は背骨に力を伝えて、肋骨に力が伝わり、胸骨というネクタイをする位置にある骨を伝わり、鎖骨に力を伝えます。
そこから肩甲骨、上腕、前腕、手、指と伝わるのです。
このように動くことで、効率的に体の中心からクラブヘッドに力が伝わり、伸びやかなスイングができます。

仙骨から背骨へと力が伝わります

仙骨→背骨→肋骨→胸骨→鎖骨→上腕骨→前腕(橈骨(とうこつ)・尺骨)→手→指

力が伝わるこの流れの中で、「背骨→肋骨」の部分で動きがうまく伝わらない方が多いです。
その原因の一つは、呼吸が浅いことにあります。

呼吸を意識してみよう

呼吸をする時には肋骨が動きます。
私は普段人体模型や解剖学図を使ってお客様に体の構造や動きをお伝えしています。

その中で肋骨の動きを説明すると「こんなに動くの?」と驚かれる方も多いです。

その肋骨は、背骨と関節を作っています。
呼吸が浅くなり、肋骨が動かなくなると、「背骨→肋骨」に動きがうまく伝わらなくなります。

「背骨→肋骨」の部分が動かなくなると、その先に伝わる「胸骨→鎖骨→上腕骨→前腕(橈骨(とうこつ)・尺骨)→手→指」には動きは伝わりません。
力の伝達を効率的に行うことができないのです。

そのため、呼吸を正しく行い肋骨が動くようになると、副交感神経が優位に働いて体全体をリラックスさせることができるようになります。自然と力の伝達がうまくいくようになり、スイングが改善されたという方が多数いらっしゃるのです。

特に力が抜けやすいのは、息を吐く時です。
息を吐いて力が抜けると、無駄な力が入らない気持ちの良いスイングができるのです。

日常生活でも、呼吸を知り、習得することで「頭痛がなくなった」「首のこりが取れた」などのお声をいただきますが、これらも呼吸による脱力のおかげです。

意識をして呼吸すると、いかにいつも深い呼吸をしていないかに気づかれると思います。
イラストのように、呼吸する臓器である「肺」は肋骨いっぱいに広がっています。

肺が空気で満たされると肋骨いっぱいに広がる

肺一杯に空気を入れて、肺からすべて吐き出すようなイメージで呼吸をすると、自然と深い呼吸ができるかと思います。

ゴルフのパフォーマンスのためにも、日常をより快適に心地よく過ごすためにも、深呼吸を意識的に日常に取り入れてみてはいかがでしょうか。


監修:ゴルフ上達関節調律師 山本優子(やまもとゆうこ)

1992年生まれ、神奈川県出身。大学で医療と運動指導について学び、柔道整復師と日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナーを取得。大学卒業後、パーソナルトレーナーなどの経験を経て、脱力関節調律®︎を独自に開発。2018年に個人サロンnaturacaを設立し独立。口コミだけで年間1000件以上の指導実績がある。2019年4月に自著『目かくしゴルフ』を出版し、一般社団法人日本脱力関節調律協会を設立、代表理事に就任。

naturaca

一般社団法人日本脱力関節調律協会

取材・編集/ゴルフサプリ編集部 坂本緑


ゴルフ上達関節調律師が解説「スイングが改善するカラダの使い方」

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関連リンク
第1回:ゴルフ解剖学
第2回:『胸椎バンザイ』エクササイズ
第3回:『胸椎でんでん』エクササイズ
第4回:『頚椎くるくる』エクササイズ
第5回:『仙骨ごろりん』エクササイズ
第6回:目かくしゴルフ
第7回:少しの「知識」と少しの「意識」で体は変わる!
第8回:脱力を意識する
第9回:呼吸を意識する
第10回:動作の癖を意識する