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ゴルフクラブの選び方|超基本ギア用語講座Vol.5【重心とスイートスポット編】

知らないと、クラブ選びで失敗しちゃうかも!

2020/01/22 ゴルフサプリ編集部

「慣性モーメント」、「重心アングル」などなど、いろんなギア用語を目にするけれど、そんなこと知らなくたってゴルフ場では困らない! どうせ新製品を売るためのセールストークでしょ、と思っていませんか? そんなことはありません、ゴルフクラブの基礎知識を持っていれば、クラブ選びの失敗がなくなるだけじゃなく、飛びも方向性もスコアだってよくなっちゃうんです。そんな、クラブ選びにもスコアアップにも役に立つ、超基本ギア用語をお届けします。

ゴルフクラブ基礎知識講座【重心とスイートスポット編】

Q.重心位置を示す4つの用語は?
 〇に入る文字を埋めてください。

A.重心〇、重心〇〇、重心〇〇、重心〇

重心位置を示す4つの用語、すべてわかりましたか? 答えは「重心高」「重心深度」「重心距離」「重心角(アングル)」でした。それぞれが具体的に何を指すのかを確認してみましょう。

それぞれの用語が何を指しているかを確認していただいたところで、それぞれの位置が変わるとクラブの機能として何が変わるのかが気になるところですが、実はそれぞれ単独でクラブの性格が分かるのではなく、いくつかの項目の組み合わせでクラブの性格は変わります。
これが分かると、「新しいクラブを買ったけれど合わなかった」という失敗を防ぐことができますので、それぞれの項目と組み合わせによるクラブの性格の見方を紹介して行きます。

重心高=スイートスポットの高さで、高い=難しいとは限らない

ヘッドの重心はヘッドの内部にあります。ところがクラブヘッドの「重心高」と言う場合は、フェース面上のスイートスポットの高さを示します。ボールを打つときにスイートスポットが低ければ球は上がりやすく、スイートスポットが高ければ球は上がりにくくなるだろうということはイメージしやすいのですが、ウッドとアイアンでは少し違ってきます。
アイアンはヘッド内の重心とフェース面が近いのでイメージ通りでOKですが、ヘッド内の重心がフェースから遠くにあるウッドの場合は重心高が高いからと言って球が上がりにくいとは限りません。
ヘッド内部の重心からフェースに垂線を下した時の交点がフェース面上のスイートスポットです(図A)。するとアイアンはヘッド内の重心の高さとスイートスポットの高さがほぼ連動しますが、ウッドの場合は重心深度が深いほどフェース面上のスイートスポットは高くなります(図C、D)。

重心高とインパクトロフトは重心深度で変化する

ウッドの場合、図Cと図Dに示す通り、ヘッド内部の重心の高さは同じでも、重心深度が浅いと、スイートスポット(重心高)は低くなり、重心深度が深いとスイートスポット(重心高)は高くなります。このときに重心高だけを見れば、重心高が低い方が球は上がりやすそうに思えますが、実際には重心深度が深いものは、重心高が高くても球は上がりやすくなります。これは、重心深度の違いでインパクトロフトが変化するからです。

現在のヘッドの構造では重心が深いほど慣性モーメントが大きくなる

さらに、現在のクラブヘッドの構造だと、重心深度が深いほど、ヘッドの慣性モーメントが大きくなります。どうしてそうなるかといえば、ウッドヘッド、特にドライバーの場合、ヘッド各部の肉厚を見るとインパクトの衝撃に耐えるためにフェース部分が最も厚くなっています。つまり、他の部分に比べてフェース部分が最も重くなっているわけです。
この条件下で重心深度が深いということは、限られたヘッド重量の中でフェースに取られた残りの重量が、ヘッド後方により多く配分されているということになりますから、必然的に重心深度が深いヘッドは慣性モーメントも大きくなることになります。すると、重心深度が深いものは、重心高が高くても、インパクトロフトが大きくなるので「球が上がりやすい」、慣性モーメントが大きいので「ミスヒットに強い」ヘッドになります。

重心深度が深いドライバーヘッドは、ヘッドの慣性モーメントも大きくなる

重心深度による重心高の変化でスピン量とボールの初速も変化する

ヘッド内部の重心位置を低くするのは限界がありますから、重心深度が深いほど重心高は高く、重心深度が浅いほど重心高が低くなる傾向となります。重心高が高くなると、ギア効果でバックスピンがかかりやすくなり、重心高が低いとギア効果によるバックスピンの増加は少なくなります。つまり、バックスピン不足でボールがドロップする人は深重心を、ボールが吹き上がる人は浅重心を使えば飛距離UPに役立ちます。

また、重心高が低いと打点とスイートスポットが近くなるので、ボール初速が上がりやすいという特性もあります。

重心距離と重心角でヘッドがターンするスピードと球のつかまりが変化する

重心距離が変わるとヘッドがターンするスピードと重心角が変化します。重心距離はシャフト軸線からスイートスポット迄の距離ですが、シャフト軸線からどれだけ重心が離れたところにあるかを示していると考えても差し支えありません。ヘッド重量が同じであれば、重心がシャフト軸から遠いとヘッドがターンするスピードはゆっくりとなり、近ければ速くなります。スイングとの相性を見ると、スイング中にフェースの開閉が多い人は重心距離が短いヘッドと相性がよく、スイング中にフェースの開閉が少ない人は、重心距離が長いヘッドと相性がよいといえます。
また、重心距離の長短によって重心角が変化します。

重心角の大小は球のつかまりに関係します。スイング中にヘッドにかかる遠心力で、ヘッド内の重心はシャフトの延長線上に引っ張られます。すると、重心角が大きいほど、遠心力の働きで、ヘッドには自然とフェースが閉じる力が加わりますので、重心角が大きいほど球のつかまりがよくなるのです。
スライサーなら重心角が大きいクラブを、フッカーなら重心角が小さいクラブを選ぶことが曲がりを減らすポイントとなるわけです。

ゴルフクラブ基礎知識講座 Vol.5 まとめ

・ウッドの場合、重心高だけでは球の上がりやすさを判断できない
・重心深度が深いほど球は上がりやすくなる
・重心深度が深い慣性モーメントも大きくなる傾向
・重心角が大きい球がつかまりやすい
・重心深度が深い重心角が大きくなりやすい
・重心距離が長いヘッドはゆっくりターンする
・重心距離が長い重心角は小さくなりやすい


大塚賢二(ゴルフトゥデイ編集部)
1961年生まれ。大手ゴルフクラブメーカーに20年間勤務。商品企画、宣伝販促、広報、プロ担当を歴任。独立後はギアライターとして数多くのギアに関する記事を執筆。現在はギア担当としてゴルフトゥデイ編集部に籍を置く傍ら、有名シャフトメーカーのフィッターとして、シャフトフィッティングも行っている。パーシモンヘッド時代からギアを見続け、クラブの開発から設計、製造に関する知識をも有するギアのスペシャリスト。

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【シリーズ一覧】
●Vol.1超基本ギア用語講座【ロフト】
●Vol.2超基本ギア用語講座【スピン】
●Vol.3超基本ギア用語講座【バルジとロールとギア効果】
●Vol.4超基本ギア用語講座【慣性モーメント】
●Vol.5超基本ギア用語講座【重心とスイートスポット】
●Vol.6超基本ギア用語講座【フレックス編】
●Vol.7超基本ギア用語講座【バランス(スイングウェイト)編】
●Vol.8超基本ギア用語講座【高反発と飛びの3要素編】
●Vol.9超基本ギア用語講座【ゴルフクラブに使われる素材】