芹澤信雄 もう悩まない!絶対入れたい!「パーパット」の決め方|第5回
グリーンへの観察力と対応力を高めよう
グリーンの硬さや速さといったコンディションに加えて、上りや下り、曲がるラインなどパットのシチュエーションはさまざまです。その状況判断を正しく行い、スコアアップを目指しましょう
ジャンボ尾崎が命名
世界一パーパットが上手い男
(TSIグルーヴアンドスポーツ)
芹澤信雄(せりざわのぶお)
1959年11月10日生まれ。173㎝、72㎏。静岡県出身。レギュラー5勝、シニア1勝。「ゴルフは楽しく真剣に」をモットーにチームセリザワを牽引。藤田寛之、宮本勝昌らをトッププロに育て上げた。ツアーで指折りの理論派であり、パターの名手としても知られる。人工股関節を埋め込む手術を経て見事に復活。
グリーンを外側から観察するという習慣をつける
グリーン上で「上りか下りか、傾斜がわからなくなった」という経験はありませんか? それは地形や足もとのアンジュレーション、目の錯覚などによって起こりますが、これを防ぐには「グリーンを外側から観察する」という習慣をつけましょう。
セカンド地点からグリーンに向かうときに、グリーン全体のおおまかな傾斜をチェック。いわゆる受けグリーンかどうか、左右どちらが高いのか、カップとボールの位置関係などを見ます。加えて、グリーンの色(芝の濃も淡)や日の当たり方、風の抜け方などもよく観察してください。そしてグリーンに上がったら、芝目の向きをチェックします。最近のグリーンは芝目がないといわれますが、自然物で生育する以上、芝目は存在し、球のコロがりに影響を与えます。特にカラーからのパットは、芝の長さだけでなく、芝目の向きをよく見ることが大切です。
「目」と「足の裏」から情報を集める
目からの情報収集に加え、歩いたときの足の裏の感触から、グリーンの硬さを感じ取ることが重要。
「ライン読み」はグリーンに上がる前から始まっている
全体の傾斜を見てラインをざっと読む
例えば、手前が低く奥が高い「受けグリーン」で、ピンの左手前にボールがあるときは、「上りのスライスライン」という読みをベースにする。こうすればラインの大きな読み間違いを防げる。
カップ際の芝目を観察
カップ際をよく見ると、芝目の向きがわかる。芝目の影響で順目側より逆目側のカップの縁のほうが崩れやすい、という特徴がある。
カラーの芝の長さ、向き、強さを観察する
ボールからグリーンエッジまでの距離だけでなく、芝の長さ、向き、強さを観察し、芝に食われることを考慮して大きめにストロークする。逆目のときは予想以上に芝に食われるので注意しよう。
POINT1[打ち方は同じです]スピードは変えずに振り幅を小さくする
振り幅をより小さくすれば緩まずに打てる
下り傾斜はストロークの振り幅を小さくするだけで、スピードは変えないことが大切。オーバーするのは単純に振り幅が大きいからで、より小さくすれば緩まずにしっかり打てる。
ゆっくり打つのはNG
ゆっくりストロークしてインパクトを弱くすると、コロがりが悪くなり、ショートしたり余計に切れたりしてしまう。
インパクトの強さも一定に
上りも下りもインパクトの強さは同じ。振り幅だけを変えれば距離感が合いやすく、安定したストロークになる。
POINT2[下りの急勾配+高速グリーン対策]あえて芯を外してトゥ側で打つ
アドレス時にボール位置を外側にズラす
通常はフェースの真ん中(芯)にボールをセットするが、ほんの少し外側にズラして、トゥ側でインパクトする。打球の勢いを殺しつつ、直進性を保てる。
フェースが返るぶん切れにくい
ヒール側に当たるとフェースは開くが、トゥ側で打てば返りやすくなるため、スライスラインがカップ際で切れにくい(曲がりにくい)。
しっかり打てば傾斜や芝目の影響を受けにくい
下り傾斜のパーパットの場合、打ちすぎて返しも外すとダブルボギーになってしまいますが、だからといってインパクトを弱くすると、球のコロがりが悪くなるうえに傾斜や芝目の影響を受けて、カップ際で切れやすくなります。
下り傾斜も上りと同様、「しっかり打つ」ことが基本です。ストロークのスピードもボールのスピードも変えずに、振り幅だけを小さくしましょう。3メートルの下りなら1メートルの平らなラインだと思って打つ。私はこういった発想の転換でグリーンの傾斜と速さに対応しています。
急勾配の下りで高速グリーンのときは、あえて芯を外し「フェースのトゥ側で打つ」というテクニックを使います。芯で打つと弾きがよくなって打球の勢いが強くなりますが、トゥ側で打てばその弾きと勢いが弱くなり、球がゆっくり飛び出しながら伸びていくからです。これは下りのスライスラインで特に有効です。
上り傾斜はカップの奥に目線を向ける
上り傾斜は振り幅を大きくすることに加え、ショートパットの場合は、カップへの目線を手前(入り口)でなく、奥(土手)に向けるとしっかり打てる。カップの後方にもう一つのカップを仮想するのも効果的だ。
取材協力/太平洋クラブ御殿場コース、御殿場WEST、チームセリザワゴルフアカデミー
GOLF TODAY本誌 No.571 124〜127ページより
【シリーズ一覧】
●第1回:芹澤信雄 もう悩まない!絶対入れたい!「パーパット」の決め方|第1回(1/2)
●第2回:芹澤信雄 もう悩まない!絶対入れたい!「パーパット」の決め方|第1回(2/2)
●第3回:芹澤信雄 もう悩まない!絶対入れたい!「パーパット」の決め方|第2回(1/2)
●第4回:芹澤信雄 もう悩まない!絶対入れたい!「パーパット」の決め方|第2回(2/2)
●第5回:芹澤信雄 もう悩まない!絶対入れたい!「パーパット」の決め方|第3回(1/2)
●第6回:芹澤信雄 もう悩まない!絶対入れたい!「パーパット」の決め方|第3回(2/2)
●第7回:芹澤信雄 もう悩まない!絶対入れたい!「パーパット」の決め方|第4回
●第8回:芹澤信雄 もう悩まない!絶対入れたい!「パーパット」の決め方|第5回
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