昆布チップ、おしゃぶり昆布……地味な“海藻おやつ”が、ゴルファーの救世主に!
シブコもやってる! もぐもぐタイムでスコアアップ!!|第4回
8月20日、渋野日向子プロの優勝によって試合中の“もぐもぐタイム“が注目されるきっかけとなったAIG女子オープン(旧・全英女子オープン)が開幕します。日本のゴルフは、新型コロナウィルス感染防止の観点から18ホールスループレーが増えたことにより間食の必要性がさらにアップ。AIG女子オープンでは優勝争いだけでなく、渋野プロが何を”もぐもぐ“するのか楽しみにしている方も多いようです。そこで腸活エキスパートの小林暁子先生に、ゴルフのラウンドにプラスになる賢い間食の摂り方をアドバイスしていただきました。コンビニで手軽に買えるオススメおやつで、エネルギーも集中力もしっかりチャージしましょう!!
指導・小林暁子先生(医学博士)
順天堂大学医学部を卒業、2012年小林メディカルクリニック東京を開業。便秘外来、内科、皮膚科、女性専門外来などさまざまな不調に対応。一般の患者さんだけでなくトップアスリートからも厚い信頼を寄せられている。便秘外来では、のべ20万人以上の治療に携わるとともに腸内環境の正しい知識普及につとめる。『今日からはじめる健美腸ルール(講談社エディトリアル)』『2週間で腸が若返る!美腸ダイエット(世界文化社)』など著書多数。
テーマ 第4回【海藻類編】
低カロリーなうえに便秘解消にも期待!! 海藻類は中高年や女性のおやつに最適
“味も素っ気もない”が、おやつには最適
8月20日、渋野日向子プロがディフェンディングチャンピオンとして臨むAIG女子オープン(旧・全英女子オープン)が開幕します。今年は世界中に新型コロナが蔓延し大会の開催が危ぶまれていただけに、開催が決まった時はテレビのニュースやスポーツ番組でも取り上げられ「渋野プロのプレーも見たいですが、もぐもぐタイムも楽しみですね」とアナウンサーの方が付け加えていらしたのが印象に残っています。昨年は「たら」を加工したおやつを頬張っていた渋野プロ、今年は何を間食にセレクトするのか気になるところです。
魚ではありませんが、同じ海のものを加工したもので私がオススメするのは海藻類のおやつです。コンビニで手に入るものでは、昆布チップス、おしゃぶり昆布、くきわかめ、焼き海苔、のり天などです。これらは一般に“味も素っ気もない”イメージで、おやつとして捉えるのは意外かもしれません。お腹がいっぱいになるものでもありません。しかし、小腹が空いた時にエネルギー補給しておきたい、口寂しい時などに食べるのが間食ですから、むしろ海藻類はおやつにぴったりといえるのです。
ダイエット中でも罪悪感なく食べられる
おやつはあくまで補食ですから、それを食べたことによって基本の3食への制限や影響が大きくない方が望ましいといえます。特に、プレー中カロリーの高い物を食べてしまうと昼食を控え目にしなければならず本末転倒になりますが、海藻類はカロリーが低い点で食事への影響は考えなくてよいでしょう。
肥満予防を心がけている方、ダイエット中の女性ゴルファーの方などにも罪悪感なく食べていただけると思います。海藻には、脂質をためこんで肥満の原因になる白色脂肪を燃焼する効果のあるフコキサンチンが多く含まれているため、肥満改善の働きもあるのです。
血液サラサラ、腸内環境も整えるスグレモノ
栄養価も優れています。海藻類は腸の活動を助け、腸内環境を整えるのに欠かせない食物繊維を豊富に含んでいます。特に昆布チップスやおしゃぶり昆布は素朴なおやつですが、コレステロールの吸収を防ぐアルギン酸という食物繊維が多く含まれるので、意識して摂ることで血液がサラサラになるといわれています。動脈硬化を予防する成分をしっかり含むおやつなのです。
感触はまったく異なりますが、プレー中ガムを噛むのと同じように口に入れることで咀嚼回数が多くなり、唾液が多く出て脳を刺激します。自分のゴルフに集中できるメリットもありますので、スコアアップにつながるかもしれませんね。
またときどき「食物繊維をたくさん摂っているのに便秘してしまう」という方がいらっしゃいますが、お腹が張ってしまう原因として食物繊維のなかでも不溶性食物繊維(便のかさを増すことでぜん動運動を促します)を多く摂っていることが考えられます。そういう方は水溶性の食物繊維(便の水分を増やして軟らかくします)が豊富に含まれるもの、特にネバネバした食材を多く摂ると、排便がスムーズになるのです。オススメはくきわかめ。本来海藻のもつネバネバ成分が加工されても残っていて、食物繊維の一種であるフコダインが含まれているからです。これはがんや生活習慣病の予防に働き、ウィルスを打ち負かすための免疫力をアップさせますので、中高年以上のゴルファーの方は定番おやつの一つにしてはいかがでしょうか。
“もう一品”の工夫で歯や骨を丈夫にしよう
焼き海苔は「おやつには少なすぎる」と思われるかもしれませんが、コンビニでも売っていますし、一般のご家庭のキッチンにも置いてあることが多く手軽な間食です。ホテルやゴルフ場の朝食についている個包装のものをおやつ用にキープもできます。焼き海苔はビタミンB6が豊富で、皮膚と粘膜を健康に保つ働きがあります。コースに出るとお肌は日焼けや乾燥にさらされますので、ラウンド中こそ焼き海苔をパリパリと食べてお肌を守りましょう。また肝脂肪を防ぐ働きもありますので、お酒が好きな方のラウンド中の間食に、もちろんお酒のおつまみとしてもオススメです。
海苔にはビタミンB12も含まれており、海苔巻きチーズおかきなど、チーズと一緒に摂ると赤血球をつくり貧血予防にもなります。若い女性ゴルファーの方にはベストだと思います。わかめチップスは、マグネシウム、葉酸、ビタミンKが豊富なのですが、ビタミンKは単体で摂るよりもカルシウムを一緒に摂取することでさらに両者が協力し合って骨や歯を丈夫にしてくれます。海藻だけだと物足りなさを感じる場合に「もう一品」を選ぶとしたら、カルシウム豊富な小魚せんべいやスティックチーズなどがよいでしょう。
過ぎたるは及ばざるがごとし。大量摂取はNG!!
いろいろご紹介しましたが、海藻類には、甲状腺ホルモンの材料になるミネラルの一種であるヨウ素(ヨード)も多く含まれています。ヨウ素は胃と小腸の上部で吸収されて甲状腺に取り込まれます。ゴルフ中の間食として食べているうちは気にすることはありませんが、長期間にわたり何でもかんでも海藻、海藻というように、ヨウ素を大量に摂取すると甲状腺機能が低下することもあるので摂りすぎには注意してください。
ちなみに、ゴルフコースに長時間いると髪や頭皮が傷みます。「海藻類を食べると抜け毛が減るかな」と思う方もいらっしゃるようですが、それは俗説です。たんぱく質欠乏症になると毛根が痩せて毛髪が抜けやすいのですが、海藻にはたんぱく質はほとんどありませんので、育毛効果はあまり得られないといえます。
水溶性食物繊維が多く腸内環境を整えるのに最適なおやつとして、ゴルフの日はもちろん、ちょっと出かける時にも個包装のものを2〜3袋バッグに入れておくとヘルシーおやつに役立ちます。
【海藻類の効能は…】
・海藻に含まれるフコキサンチンは、脂質をため込む白色脂肪を燃焼し、肥満を改善する。
・くきわかめに含まれる食物繊維は水溶性のため、腸内環境を整え排便をスムーズにする。
・食物繊維の一種であるフコダインは、がんや生活習慣病の予防に働き、免疫力をアップ。
・焼き海苔に含まれるビタミンB6は皮膚と粘膜を健康に保ち、肝脂肪を防ぐ。ビタミンB12は貧血を防止する。
【ゴルフへの影響】
・カロリー面での罪悪感がない。
・お腹が張りにくく排便をスムーズにする。
・皮膚や粘膜を健康にする。
【オススメの海藻類リスト】
・昆布チップス、わかめチップス、おしゃぶり昆布、くきわかめ
・焼き海苔、韓国海苔
・海苔巻きチーズおかき
【いつどこで食べる?】
・ショットの待ち時間やティインググラウンド脇で。長く噛める。
・個包装の食べきりサイズをバッグに2〜3袋入れておく。
【食べ方注意点】
・甲状腺機能が低下することもあるので大量摂取はしない。
取材・文/野上雅子
【シリーズ一覧】
●第1回:【フルーツ編】
●第2回:【ナッツ豆類編】
●第3回:【肉魚類編】
●第4回:【海藻類編】
●第5回:【ドライフルーツ編】
●第6回:【卵・乳製品編】
●第7回:【お菓子編】
●第8回:【いも栗類編】
●第9回:【野菜編】
●第10回:【米類編】