体に負担をかけずにヘッドスピードを上げるには?ヒップターンのリードが欠かせないんです!
ベン・ホーガンを先生に!森プロが解説する『アイアンが際立つ!強いアレンジの作り方』【第7回】
ロングヒッターとしても鳴らしたホーガン。「飛距離アップというと、肩と腰の捻転差など、体に負担をかけがちですがホーガンは違います」と森プロ。「スムーズな運動連鎖でパワーを引き出すポイントは腰の必要十分な動き、ヒップターンにあります」
GOLF TODAY本誌 No.608 97〜101ページより
イラスト/久我修一 取材協力/東京ゴルフスタジオ
取材・構成・文/戸川 景 撮影/圓岡紀夫
ダウンの出力には腰の”巻き上げ”が必要
捻転差よりも運動連鎖を導く準備を整える
最近のバイオメカニクスの研究によると、ヘッドスピードアップには切り返し直後からスナップ動作直前までの、引き下ろし速度が大きく関わっているという。
下半身からダウンの動きをスタートする運動連鎖(キネティックチェーン)が発生しないと、このエリアでのスピードアップは難しい、と森プロ。
森プロ「大事なのは、この引き下ろし速度をヘッドスピードに変換することです。それには、早い時点でたぐり動作を行うことですが、そのためにも下半身、特にヒップターンのリードが欠かせません。
よく肩と腰の捻転差がパワーを生むように言われますが、それは腰のターンが先行してたぐり動作を促すためのもの。捻転差自体の大小はそれほど影響ありません。
逆に、捻転差を大きくしようと腰の回転を抑えてしまうと、ダウンで腰くだけになるか、ターンの動きを止めるミスが生じます」
腰回転の抑えすぎが大きなパワーロスを生む
ヒップターンを抑えて肩だけを深く回し、捻転差を増やそうとするのは体に負担が大きいだけでなく、切り返しで左腰が開いて腰くだけになりやすい。
肝心の運動連鎖が途切れてしまい、当てるだけの動きになってパワーロスしてしまう。
(左)下半身の動きが止まり、手だけで合わせ打つか、
(右)伸び上がって弾くような振り方になる。
右腰と右ヒザを流さずにフルターンしてみる
正しいターンなら45度以上回らない
森プロ「ホーガンのように、右脚を動かさないヒップターンなら、45度以上回りすぎることはありません。
それ以上に肩を回せば、運動連鎖を起こすのに必要十分な筋肉の張りが生まれます」
ホーガン流は右脚の角度を保つだけ
森プロ「ホーガンが適度な捻転差、ヒップターンの目安にしていたのは、右脚の角度が変わらず、右ヒザが外を向かないことでした。ダウンでは右足を内側に踏み込むことを重視していました」
腰くだけにならないヒップターンとは?
【本当の下半身リード】飛距離アップのカギは〝止めない〟ヒップターン
肩のラインはスクエア、スタンスだけオープンの体勢から、左肩を90度回してみる。右腰が切れ上がり、ストッパーになる感覚が明確になる。そこから左にヒップターンと同時に、右足を内側に踏み込んで、止まらずに回り切る動きを覚える。
オープンスタンスで右腰の切れを覚える
腕で高く振り上げると、つい左脚が緩みやすくなるが、これでは左腰が落ちてしまい、正しいヒップターンにならない。
ヒップターンは身体全体のターンを促すもの。右腰の切り上げでバック、左腰の切り上げでダウンをリードするのが正解。
スピンアウトにならない十分な腰の“巻き上げ”
ホーガン曰く「腰の回転は速いほど良い」
森プロ「バックスイングでヒップターンすると、左脚が内側に倒れ込んで張りが生じます。ホーガンは左腰に付いたゴムヒモが引き延ばされているイメージにたとえ、切り返しで一気に縮む速いターンを求めていました。それでも腰くだけにならないのは、バックスイングで十分なヒップターンを行っていたからです」
運動連鎖が機能すれば振り遅れはない
森プロ「ダウンで腰が先行しすぎると振り遅れのミスになる、と考えがちですが、運動連鎖がつながっていればまったく問題ありません」
ホーガンも著書『モダン・ゴルフ』の中で、こう述べている。
「ボールを打つために必要な正しい動作は、ダウンスイングの始まりからフォロースルーの完了まで、乱れることのない一連のスムーズな連鎖運動である。
その際自分は、2つのことしか考えていない。つまり、ダウンスイングを腰の回転から始め、次に上半身と腕と手を、この順序で使ってボールをできるだけ強く叩くことだ」
森プロは、運動連鎖のコツは〝叩く意識〟にあるという。
森プロ「しっかり〝叩く〟つもりなら、切り返しからたぐり動作で叩きに行っても手打ちにはならず、自然とヒップターンからスタートするはずです。それができないのは、腰の動きを抑えて振り上げ、無理な体勢で切り返すからです」
Ben Hogan
ベン・ホーガン(1912~1997)
アメリカ・テキサス州出身。身長173cm、体重68kg。ツアー通算64勝。メジャー3勝後の1949年に自動車事故で瀕死の重傷を負うが、翌年に復帰。以後、メジャーでは1953年の3冠を含む6勝を加え、グランドスラマーに。1948年に『パワー・ゴルフ』、1957年にレッスンのバイブルと呼ばれる『モダン・ゴルフ』を著し、現代でもそのスイング理論は多くのゴルファーに影響を与え続けている。
ホーガンアナリスト 森 守洋
ベン・ホーガン(1912~1997)を手本としたダウンブローの達人・陳清波に師事。現在もホーガンの技術研究に余念がない。
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