ミズノプロ 120/520/920 アイアン|養老メイドはやさしき最高品質(1/2)
〜ミズノプロが難しいと誤解するあなたに〜
皆さんは『ミズノプロ』に、どういう印象を持っていますか?「打感が柔らかい」「顔が良い」という声もあれば、「難しそう」と思っている人も多いでしょう。日本が世界に誇る軟鉄鍛造アイアンを継承し続けるミズノ。今回の養老で見たのはやさしさを追求する“ミズノの技”だった。
●MIZUNO PRO|養老メイドはやさしき最高品質
(1/2):ミズノの打感は世界特許の軟鉄鍛造である証
(2/2):MPにはなかった『920』の大きさと深重心
ミズノ㈱
グローバルイクイップメント プロダクト部
青木智明
プロダクト担当の青木は、かつては米国の男女ツアーにも帯同して、当時『MPシリーズ』を愛用していたルーク・ドナルドや、『JPXシリーズ』を使っていたステーシー・ルイスを担当していた。
ミズノの打感は世界特許の軟鉄鍛造である証
プロだけでなく、アマチュアでも「ミズノの打感は違う」と感じている人は多い。それは日本人だけではない。
90年代にタイガー・ウッズが使っていたり、現在は世界ランク1位のブルックス・ケプカが愛用するくらい世界基準で評価されている。その打感には、どんな秘密があるのか?
研磨には4つの段階があり、ベルトサンダーを使って火花を飛ばす研磨は粗研磨とよばれる第一段階。養老にはクラフトマンのリーダーである伊藤友男だけでなく、鉄の塊からアイアンを作れる職人が何人もいる。
上の写真がクラフトマンが手作業で削った『ミズノプロ120/520』の金型のベース。ネックにある『GF FORGED』は世界特許であるグレインフローフォージドの刻印。
軟鉄鍛造アイアンを作っているメーカーはミズノだけではない。国内メーカーでも海外メーカーでも多くの一流メーカーがフォージドと刻印されたアイアンを発売している。しかし、プロダクト担当の青木は、
「一般的な軟鉄鍛造アイアンとミズノの軟鉄鍛造アイアンは素材、製法、設計まで全てが違います。まず素材で言うと、一般的なJIS規格より約50%も不純物が少ない軟鉄を使っています。いわばピュアな軟鉄です」
よくミズノのアイアンのスペックを見ると『S25CM』という表記がある。そもそも『S25C』というのが炭素含有率の高い厳選された軟鉄素材なのだが、最後のMには、より不純物が少ないという意味が込められている。
「製法で言うと、世界特許にもなっていますが丸棒からネックとフェースを一体のまま鍛造しているのもミズノだけです。これは1000度以上に加熱した丸棒のネック部分を曲げて鍛造することで、金属の粒子とされる鍛流線が途切れない構造になっています。さらに特別な工場で鍛造しています」
その工場は国内トップクラスの鍛造技術を持っている広島の工場で、ミズノのアイアンは1960年代からこの工場で鍛造している。ゴルフメーカーで、この工場で鍛造しているのはミズノだけである。
また、設計には養老のマイスターやクラフトマン達の技が生きていた。
「もちろん、ミズノでも3次元CADは使いますが、デジタルデータを用いた機械加工で、軟鉄ヘッドを全番手作製しています。次に養老のクラフトマンがソールやネックを手作業で削って微修正し、鉄マスターヘッドと呼ばれる状態に仕上げます。さらに、これをデジタルスキャンして得られる3次元デジタルデータによって、ようやく金型を作ります。これはリバースエンジニアリングと言われる手法で『下町ロケット』のドラマでも有名になった、職人技とデジタルテクノロジーを融合した設計です」
そして、この作業はミズノの伝統である顔の良さを継承する技でもある。養老で約40年、ミズノのアイアンを削ってきたクラフトマンのリーダーである伊藤友男に話を聞くと、
「最新の3次元CADを使っても、ネックの曲線やソールの丸みなどは完璧に理想の形状を作ることはできません。人間が構えると0・1ミリくらいのレベルで形状に違和感を感じたりするんです。そこは、養老のクラフトマンの目と手がないと、理想の形状に削れない部分だと思います」
長年に渡り、伊藤が特にこだわるのはフェースの下側の部分だと語る。
「最も神経を使うのがネックからつながるポケット部分の曲線ラインとフェースの下側です。その部分が美しくないと目標に対してスクエアに構えにくい。最初に構えたときに、何の違和感もなくスッと構えられる顔を目指しています」
そんな養老のクラフトマンが削っているのはツアープロが使うアイアンだけではない。『ミズノプロ』はカスタム専用販売であり、それは養老のクラフトマン達が1本1本、丁寧に仕上げているアマチュアのための最高品質だったのだ。
マイスターやクラフトマンがこだわるネックとヒールがミズノ顔の伝統
伝統的に高く評価されているミズノの顔について、マイスターの伊藤は「構えやすいアイアンはネックからフェースのつながりが美しいこと。そしてフェースの下側を見ると、良い顔かどうかがわかります。構えたときにフェースの下側にボンヤリと“四角いゾーン”が見えるとスクエアに構えやすく感じます」と語る。写真は『ミズノプロ120』。
打感を追求した銅下メッキ
銅素材は非常に柔らかいため、最外層のメッキには適さないが『ミズノプロ』では、フェース面の下に銅を使った銅下メッキを施している。この効果で打感がソフトになったと語るプロは多い。
工場の裏にある神社の秘密
アイアンの聖地と呼ばれるミズノ養老工場の正式名称はミズノテクニクス㈱。工場の奥には創業者が立てた祠(ほこら)がある。青木は創業者の「ええもん作りなはれ」という哲学がミズノの社風に残っていると語る。
「はじめて構えたときに全く違和感のない顔を追求し続けています」
ミズノテクニクス㈱
ゴルフクラブマイスター
伊藤友男
1981年に入社し、約40年近くゴルフ一筋で歩んできた養老のクラフトマンのリーダー的存在。日本の男女ツアーのプロモデルも担当し、ベテランから若い世代までツアープロからの信頼も厚い。
GOLF TODAY本誌 No.569 105〜107ページより
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