ヨコシン(横田真一)と小技は遊びながら上手くなる vol.13
子供が何でも遊びから覚えていくように、ゴルフも遊び感覚で覚えるのが上達への近道。奇才・ヨコシンのショートゲームの“遊びの流儀”を大公開!
横田真一
1972年生まれ。ツアー2勝。専修大学卒業。順天大学医学部研究科で修士号を取得。自ら監修の都内の練習場『YOKOTA GOLF BASE』では、4スタンス理論に基づくタイプ別レッスンを行っている。
ヨコシン(横田真一)と小技は遊びながら上手くなる|傾斜で遊ぶ
「カップ4 個分のスライスライン」のボールの軌跡を作ってみた
スティンプメーターを使って軌跡を描き出す
スティンプメータのような毎回、同じ速度や打ち出し向きが確保できる機器や台などを用意し、コロがした時にカップにジャストインするくらいの高さにボールをセットする。そして、カップインするまで何回も転がして、その位置からコロがした時の、傾斜に対するカップインするラインを特定する。
「カップ4個分スライス」ってどんなラインなんだろう
横田 傾斜にかかるパッティングラインの傾きを、どう判断していますか。
──見た目とか足場の傾きを感じたりとかです。でもアマチュアの場合はキャディさんの「カップ3つ分、スライスをみてください」といった言葉を基準にすることが多いです。
横田 では、『カップ何個分のスライスライン』というのは、どういうコロがり方をするのかを見てみましょうか。
──どうするんですか?
横田 スティンプメータでボールがカップインするまでコロがしていくと、ある条件でコロがした時のカップインをするラインが分かってきます。
──でもこれだとラインは分かるけれど、傾きの度合いは分かりません。
横田 スティンプメータの向きは、パッティングの時のパターのフェース向きと同じです。そこで、スティンプメーター先端が向いている位置を見ると、カップ4個分ほど左を向いています。つまりこのラインは、「カップ4個分のスライスのライン」という傾斜になるわけです。では、このカップ4個分のスライスラインをどのように打っていくべきなのか、そのヒントは画像2に隠されています。
画像1
軌跡上にボールを置くとこんな感じ
傾斜上に設定した地点からスティンプメーターのある高さからコロがしたボールがカップインする軌道を描くと、このようなスライラインになった。コレがカップ4個分。
画像2
傾斜のきついスライスラインでボールをコロがしてみると
カップ4個以上に傾斜のきついスライスラインでボールをコロがしてみた。するとすぐにボールは右に曲がるということがわかる。
ヨコシン(横田真一)と遊んで分かったこと|ボールはすぐに曲がりだす
ゴルフにまつわる“遊び”にヨコシンがレッスンを加えることで小技が学べる、この連載。今回は、傾斜にかかるパッティングの打ち方をゲット!
「アマチュアライン」に外れる“ 理由”を説明します
多くの人がやっている『カップ4個分のスライスライン』の狙い方
ステップ①
カップ4個分のスライスの仮想カップを設定する
「カップ4個分のスライスを見てください」とキャディさんに言われ、とりあえず本物のカップから左へ4個分の仮想のカップを設定する。
ステップ②
ボールと仮想カップのライン上に『頂点』を設定する
ボールと仮想のカップを結ぶライン上に傾斜の頂点を設定し、そこに向かってボールを打つ。傾斜を越えた辺りでボールは徐々にスライスしてカップへ向かうイメージだ。
傾斜では、コロがすラインをイメージして打とう
横田 「カップ4個分のスライスライン」と言われたらどう打ちますか。
──仮想のカップをカップの左5個分に設定し、ボールとその仮想のカップを結ぶライン上に『頂点』を見出し、そこを狙います。頂点を越えたボールはスライスラインに乗ってカップに向かうという感じですね。
横田 う~ん。その狙い方と打ち方でやると、まずカップの手前で切れてしまいますね。
──え、何故ですか?
横田 傾斜にかかるラインでは、自分が傾斜の上に立っているということを忘れがちなんですよ。それで、自分の考える傾斜の『頂点』までは平坦で真っすぐなラインであると思って打つわけですけど、実はボールはコロがり始めた直後から傾斜の影響を受けてスライスとかフックをし始めているわけです。だから、頂点に届くことなくボールは傾斜をコロがっていくので、傾斜がきついケースではカップの手前で思いのほか切れていく。これが『アマチュアライン』の正体です。スライスラインとなるツマ先下がりのケースでは、ボールはコロがり始めてからすぐにスライスしているのが分かりますよね。それがイメージできれば、曲がるラインがもっと入るようになります。
「カップ4個分のスライスライン」と言われた時に、多くのアマチュアはA のようにボールと仮想のカップを結ぶライン上に「頂点(目標)」を設定し、その頂点に向かって打つ。頂点を過ぎたら傾斜の影響でボールはカップに向かってコロがるというイメージだが、これでは傾斜がきついと早く右に曲がってカップの右に外れる。実際には、ボールは打った直後から傾斜の影響を受けるため、B のようなラインをコロがることになる。つまりこういうラインの時は、まずA のラインをイメージしたら、打ち出し直後から、そのA ラインの少し内側を通るスライスラインをイメージして打つようにするべきなのだ。
ボールはすぐに曲がり始めていた!
スティンプメーターから飛び出したボールは、真っすぐにコロがることなく、すぐに傾斜の影響を受けてスライスをし始める。
ロングパットは具体的イメージを持って打つ
パッティングが苦手な人の特徴として、『イメージ作り』がうまくできていないことが多いです。それを、今回のテーマの「カップ4個スライスのラインで考えてみましょう。多くの人は、カップから4 個分左に仮想カップを設定し、そのカップをボールを結ぶライン上に『頂点(目標)』を設定し、そこに向かい打っていきます。これは打つ時にイメージが出しやすいのですが、足元の傾斜を忘れていたために、この設定は間違いでした。そこで今度は、カップ4個分左に設定したラインよりも内側にラインを設定しなければならないわけですが、このような傾斜の場合は、そのラインが「雨どい」であるというイメージを持つと良いでしょう。この溝に沿ってボールをコロがして行けばイイと思うことで手がスムーズに動くので、不思議と距離感もタッチも合ってきます。ロングパットは漠然と打つことが多いモノですが、こういったイメージをもつことでカップインの確率も上がってきます。
GOLF TODAY本誌 No.575 144~147ページより
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●vol.8:<モノマネ>で遊ぶ
●vol.9:<クラブを替えて>遊ぶ
●vol.10:<傾けて>遊ぶ
●vol.11:ピンを<差して>遊ぶ
●vol.12:ピンを<トラックマン>で遊ぶ
●vol.13:<傾斜>で遊ぶ