ゴルフピラティスで手に入れる! 強くてしなやか美的スイング
ゴルフで美BODY|ゴルフピラティス/ 第1回 ゴルフピラティスとは
スムーズでバランスいい、効率的なスイングを手に入れるにはそのベースとなる身体作りや身体のメンテナンスが重要。そこで、おすすめしたいのが、ゴルフピラティスだ。
ゴルファーのために考案されたゴルフピラティスは、美的スイングの要となる身体作りに効果があることはもちろん、美しい姿勢作りやシェイプアップ効果、ケガの予防にもつながる。ぜひゴルフピラティスで、スイングも身体も美的に進化させよう。
PROFILE
竹内弓美子(たけうち・ゆみこ)
京都府出身。キャナリープランニング合同会社代表。日本女子プロゴルフ協会会員(ティーチングプロ資格A級)。アメリカLPGA T&CP クラスAメンバー。日本ピラティス指導者協会(JAPICA)ゴルフピラティス専門コース開発者。ネバダ州立大学公認ピラティス指導者。日本予防医学会会員。これまでに、のべ6万人以上のゴルファー指導に携わる。著書に、『もっと飛ばせる!ゴルフの体幹トレーニング~ゴルフピラティスでブレない軸をつくる』(スキージャーナル社)がある。ゴルフピラティスを活用した著書や講習等によってゴルフビジネスの地位を確立させ、2019年LPGAアワード「ゴルフビジネス賞」を受賞。
★現在、WEBレッスンの準備中(現在、スタジオは閉鎖中)。キャナリープランニング(https://www.canaryplan.co.jp/)のホームページでお知らせします。
ひたすら球を打って練習する日々……そのド根性が返って仇に!
子供の頃にゴルフを始めた人のスイングと、大人になってからゴルフを始めた人のスイングは、基本的には別物です。子供の時のゴルフは、パターでボールを転がすことから始めて、徐々にクラブを振ってボールを打つ。一方、大人はいきなりドライバーを振り回し、テレビで観たプロのスイングをまねようと、練習に励む人が多いのではないでしょうか?
かくいう私は後者で、理想を追い求めて来る日も来る日も、ひたすらボールを打ちまくっていました。その結果、身体は大きな悲鳴を上げ、股関節を故障。一時は歩くことさえ困難なほどの痛みに襲われました。
何度も整形外科に行きましたが、レントゲンでは「異常なし」の診断、症状は一向に改善されません。もうゴルフはあきらめるしかない……とさえ思っていた時に出会ったのが、ピラティスです。
ピラティスのおかげでケガはすっかりよくなり、同時に大切なことに気づかされました。身体に負担をかけてまで無理にスイングの練習をするのは、上達どころかまったくの逆効果。上手くなるには何よりも、スイングの土台となる身体作りが重要なのだ、と。
「理想のスイングの動きは頭では分かっているけれど、身体がついていかない」「ラウンドや練習後は腰やヒザに痛みが出る」「どうも方向性が悪く、スイングも安定しない」「レッスンを受けているけれど、一向に上手くならない」――こうした悩みを抱えている人はぜひ、ゴルフピラティスを実践してください。
ゴルフプラティスで美しくてしなやかなスイング、ケガや故障をしない身体、そしてゴルフの楽しさを手に入れましょう。
ゴルフピラティスって何?
健康的にゴルフを楽しむための体幹トレーニングで効率的なスイングがマスターできる!
ゴルフピラティスとは、ネバダ州立大学のドリー・ケラベス教授と、私(竹内)が共同で開発したプログラムです。ピラティスには、スイングのように身体をねじる回旋運動などがあまりないため、ゴルフに関連する動きを盛り込んで融合させました。ゴルフピラティスのすべてのエクササイズはゴルフにつながっており、スイングを効率的に行うための身体作りを目的としています。
ゴルフピラティスで大切にしているのは、「ひとりでできること」「いつでもできること」「簡単にできること」の3つ。「それなら続けられそう!」と思った人もいるでしょう。その通りです。継続は力なり。何度も繰り返し頒反復して、無意識でもできるようにならないと、身体は変わっていかないのです。
ゴルフピラティスを続けると何がいいのか、その効果はたくさんありますが、今回は主な3つを紹介します。
ゴルフピラティスの3大メリット
体幹が鍛えられる
「ゴルフ上達には体幹が重要!」とよくいわれますが、ゴルフピラティスはまさに最強の体幹トレーニングです。体幹の定義はさまざまあり、広義では頭と手足以外の胴体部分、狭義ではお腹の深い部分にある筋肉群を指します。
いずれにせよ、体幹強化には腹直筋(シックスパックス)など、外側から分かる筋肉・アウターマッスルと、腹横筋や骨盤底筋群、横隔膜といった身体の深部にあるインナーマッスルの両方が必要です。
大きな力や早い動きを得意とするアウターマッスルは、腕立て伏せやウエイトを使うなど、いわゆる筋トレで鍛えることができます。一方、インナーマッスルは姿勢を保持したり、関節を正しい位置に安定させたりする筋肉群で、十分意識しないと鍛えることが難しいのが特徴です。
そこで、ピラティスの出番! ゴルフピラティスは正しい姿勢や呼吸法をキープすることで身体のコアの筋肉に働きかけ、柔軟性が高く、ケガのリスクの少ない身体を作ります。
スイングを再現性の高い、シンプルなものに変える=スイングが安定する
ご存じの通り、ゴルフスイングはとても複雑な動きです。しかし、肩や腰が硬かったり変なクセがついていたりして身体がゆがんだ状態のまま振ると、スイングはさらに複雑な動きになります。それに気づかず何百回とボールを打ち続ければ、どうなるでしょう。身体に負担がかかって蓄積し、痛みが出て、やがて整形外科に行かなくてはならないようなケガにつながるのです。
ゴルフピラティスを行うことで姿勢が整い、身体が正しく使えるようになます。すると、過剰に複雑になっていたスイングが、シンプルで効率のいい動きになります。動きがシンプルであれば再現性が高くなり、スイングは安定します。これが、“効率のよい美しいスイング”です。
スイングで重要なのは、小文字の「y」。小文字の「y」をキープし、歩くようにスムーズに体重移動しながら、ホウキで地面を履くイメージでクラブを振る。これが基本。大文字の「Y」で打っている人のほうが、断然多い。※小文字の「y」については、今後の連載で詳しく解説します
ケガを予防する=長くゴルフを楽しむことができる
腰やヒザ、ヒジ、手首、首、背中などに痛みを抱えているゴルファーの、何と多いことか。「痛くなるまで我慢して練習しないと、一人前じゃない!」みたいな考え方も、まだ結構残っているんですよね……。
でも、痛みがあるということは、身体の使い方がおかしい証拠。どこかがゆがんでいて、無理な使い方をしているからです。
それを矯正するのが、ゴルフピラティス。骨格を本来あるべきポジションに戻し、正しい身体の使い方をすれば、痛みは出ないはずです。
自分の身体のゆがみに気づいていない人もいて、「これが正しい身体のポジションですよ」と伝えると、「え~っ!?」と驚く人も少なくありません。ゴルフピラティスを続けることで、無理のない身体の使い方を身につけましょう。
ゴルフピラティスで得られる効果は、まだまだあります。その他のメリットについては、これからの連載で順次お伝えしていきます。
そして第2回では、女性ゴルファーに多い症状と、あなたの今の身体の状態を知るセルフチェックをご紹介。お楽しみに!
MODEL PROFILE
宮谷優理(みやたに・ゆり)
京都府出身。職業は歯科医師。速水歯科医院(滋賀県)副院長。「竹内先生にご指導いただき、ゴルフ歴は半年ほど。まさに面白くなってきたところです」
取材・文/相田英子
写真/作田祥一
撮影協力/ロイ・マーケティングデザイン
【シリーズ一覧】
●第1回:ゴルフピラティスとは
●第2回:身体の状態をセルフチェック
●第3回:正しい姿勢と呼吸法を身に付けよう
●第4回:スイングが不安定、手打ち、腰痛、ぽっこりお腹……その原因は腹筋の弱さにあり!
●第5回:歩き方のきれいな美尻ゴルファーは、ゴルフが絶対上手くなる!
●第6回:ウエストにくびれをつくりながら、飛距離アップを目指す!
●第7回:身体を対角線に使う動きをマスターすると、スイングがスムーズ&パワフルに!
●第8回:足首や足裏にアプローチする地味系エクサイズこそ、スイングを安定させる必勝テク!
●第9回:股関節まわりの筋肉を伸ばすと、飛距離もゴルフ寿命もぐーんと伸びる!
●第10回:骨盤の動かし方を覚えて、歩いている時のような自然な体重移動を身につける!
●第11回:キュッと引き締まった太ももがスエーを防止! 安定したスイングで飛距離を伸ばす‼
●第12回:胸を開くと気持ちも上向きに! 上半身と下半身の捻転をスムーズにして、大きく飛ばす‼
●第13回:“ながら”でも効果絶大! スムーズなスイングをマスターするための股関節のエクササイズ