スイングが不安定、手打ち、腰痛、ぽっこりお腹……その原因は腹筋の弱さにあり!
ゴルフで美BODY|ゴルフピラティス/第4回 体幹を鍛える~お腹編
スムーズでバランスいい効率的なスイングを手に入れるには、そのベースとなる身体作りや身体のメンテナンスが重要。そこで、おすすめしたいのが、ゴルフピラティスだ。
ゴルファーのために考案されたゴルフピラティスは、美的スイングの要となる身体作りに効果があることはもちろん、美しい姿勢作りやシェイプアップ効果、ケガの予防にもつながる。
今回は、体幹を構成する筋肉のひとつ・腹筋に注目し、それを強化するエクササイズを紹介する。
PROFILE
竹内弓美子(たけうち・ゆみこ)
京都府出身。キャナリープランニング合同会社代表。日本女子プロゴルフ協会会員(ティーチングプロ資格A級)。アメリカLPGA T&CP クラスAメンバー。日本ピラティス指導者協会(JAPICA)ゴルフピラティス専門コース開発者。ネバダ州立大学公認ピラティス指導者。日本予防医学会会員。これまでに、のべ6万人以上のゴルファー指導に携わる。著書に、『もっと飛ばせる!ゴルフの体幹トレーニング~ゴルフピラティスでブレない軸をつくる』(スキージャーナル社)がある。ゴルフピラティスを活用した著書や講習等によってゴルフビジネスの地位を確立させ、2019年LPGAアワード「ゴルフビジネス賞」を受賞。
★現在、WEBレッスンの準備中(現在、スタジオは閉鎖中)。キャナリープランニング(https://www.canaryplan.co.jp/)のホームページでお知らせします。
お腹に力を入れて薄くし、お尻とお腹で骨盤を挟むように安定させる→体幹が安定! 腰痛のリスクも下がる
本連載第2回目で、女性ゴルファーには「反り腰」が多いとお話ししました。反り腰は、お腹の力が抜けて骨盤が過剰に前方に傾き、背骨のS字カーブのうち腰椎の前弯が強くなっている状態です。
同じ回で紹介したセルフチェックを試されたと思いますが、アドレス時もチェックしてみましょう。背骨に沿ってクラブのシャフトをあてがい、前傾姿勢を取ります。シャフトと腰の間に広いすき間があく人は、やはり反り腰気味です。
お腹やお尻に力を入れて骨盤の傾きを修正すると、反り腰は改善されるでしょう。しかし、それをキープする筋力がなければ、スイング中はもちろん、日常でも自然と元の状態に戻ってしまいます。
体幹部分の筋肉がふにゃふにゃで、体に軸がない女性ゴルファーも少なくありません。身体が柔らかく、しなやかに動きそうに思えますが、目指すのは“強くて”しなやかなスイング。いくら身体がしなやかでも、体幹が弱いままではスイングは不安定になり、腕の力で体幹の弱さをカバーしようとするため、手打ちの原因にもなります。さらに、スイングのたびに腰への負担が蓄積されて、腰痛のリスクが高まっていくのです。
そこで今回は、体幹と呼ばれる筋肉の中でも、お腹の筋肉を強化するための2つのエクササイズを紹介します。
胸部には肋骨がありますが、お腹のまわりには内蔵をぐるりと包むような骨がありませんよね? だから、お腹の筋肉が弱くなってゆるむと、反り腰やぽっこりお腹になり、腰に過剰な負担がかかるのです。
しかし、骨はなくとも骨代わりになるものがあります。それが、お腹の筋肉。
特に、お腹を包むように広がっている「腹横筋」はお腹を引き締め、背骨のS字カーブを保つのに重要な筋肉です。腹横筋を鍛えることで、腰痛やぽっこりお腹の解消に役立ちます。
お腹をグッと引き締めて薄くし、しっかり固めるようにしてください。お腹を固めるとお尻の筋肉もスイッチが入りやすくなるので、骨盤が安定します。お腹、お尻、骨盤が安定することはつまり、体幹の安定につながります。腰痛の予防にも、大変効果的です。
その状態をアドレスからバックスイング、フォロースルーまで、ずっと維持するのが理想です。パッティングの時も、ボールを拾い上げる時も、歩いている時も意識してください。
アドレスに入る際は、まずお腹をグッとへこませて骨盤を安定させ、ピラティスの呼吸法(本連載第3回目参照)でひと呼吸。それから、スイングを始めましょう。
お腹を凹ませて恥骨を引き上げ、腰の反りをなくす「Cカーブ」は腹筋効果のほか、エクササイズ中の腰の保護にもつながる
■【Cカーブ】
1. ヒザを曲げて仰向けになる。
2. 片方の腕はひじを曲げ、手のひらを下にして腰と床の間に入れる。もう一方の腕は脇を少しあけて前に伸ばし、手のひらを下に向ける。
3. 自然な体勢を取る。これが、背骨がS字カーブを描く「ニュートラル」ポジション。腰と床の間に少しすき間ができる。
4. ピラティスの呼吸法で、4秒間かけて鼻から息を吸う。
5. 8秒間かけて口から息を吐きながら、おへそを背骨のほうに押し込み、背中を手のひらに押し付ける。尾てい骨が床から少し上がり、腰と床の間のすき間がなくなる。これが、背中のS字カーブがC字を描く、「Cカーブ」。
6. これを10回繰り返す。
★POINT
・「Cカーブ」の時は、お腹の力を使い腰の後ろを丸めるようにして、腰のうしろのスペースをなくすこと。足やお尻はリラックスさせる
・お腹がえぐられたかのように、限界までへこませることがキモ
・エクササイズ中は、ピラティスの呼吸法を意識する。4秒間かけて鼻から息を吸い、8秒間かけて口から息を吐くのが基本
地味ながら確実に腹筋に利く! 呼吸をしながら丁寧に上げ下げを
■【ヘッドロールアップ】
1. ヒザを曲げて仰向けになる。手は太ももの上にそえる。
2. 上記の「Cカーブ」をつくる。目線はヒザの上に向ける。
3. ピラティスの呼吸法で、4秒間かけて鼻から息を吸う。
4. 8秒間かけて口から息を吐きながら、肩甲骨が床から離れるまで上体を起こし、両手をヒザのほうに滑らせる。
5. ゆっくりと息を吸いながら。上体を床に下ろす。これを10回繰り返す。
★POINT
・エクササイズ中は、ピラティスの呼吸法を意識すること
・上体を起こす時は、首の後ろを伸ばすイメージで。首を曲げて、頭が前に出すぎないよう注意。
・上体を床に下ろす際は頭が最後になるように、丁寧に
【おさらい】 ゴルフピラティスって何?
健康的にゴルフを楽しむための体幹トレーニングで、効率的なスイングをマスター!
ゴルフピラティスとは、ネバダ州立大学のドリー・ケラベス教授と、私(竹内)が共同で開発したプログラムです。ゴルフピラティスのすべてのエクササイズはゴルフにつながっており、スイングを効率的に行うための身体作りを目的としています。
ゴルフピラティスの主な効果
体幹が鍛えられる
ゴルフピラティスは正しい姿勢や呼吸法をキープすることで身体のコアの筋肉に働きかけ、柔軟性が高く、ケガのリスクの少ない身体を作ります。
スイングを再現性の高い、シンプルなものに変える=安定感が増す
ゴルフピラティスを行うことで身体が正しく使えるようになると、余計に複雑になっていたスイングがシンプルで効率のいい動きになります。動きがシンプルであれば再現性が高くなり、スイングは安定します。これが、“効率のよい美しいスイング”です。
ケガを予防する=長くゴルフを楽しむことができる
ゴルフピラティスで骨格を本来あるべきポジションに戻し、正しい身体の使い方を習得しましょう。ケガのリスクが減り、長くゴルフが楽しめる身体になります。
毎日の習慣にして、身体を頭に覚え込ませる
いかがでしたか? どちらも地味な動きのエクササイズですが、毎日続けることで身体は必ず変わります。
いずれも布団やベッドの上でできるので、朝起きる前や夜寝る前に行うよう、習慣にするといいでしょう。
MODEL PROFILE
宮谷優理(みやたに・ゆり)
京都府出身。職業は歯科医師。速水歯科医院(滋賀県)副院長。「竹内先生にご指導いただき、ゴルフ歴は半年ほど。まさに面白くなってきたところです」
取材・文/相田英子
写真/作田祥一
撮影協力/ロイ・マーケティングデザイン
【シリーズ一覧】
●第1回:ゴルフピラティスとは
●第2回:身体の状態をセルフチェック
●第3回:正しい姿勢と呼吸法を身に付けよう
●第4回:スイングが不安定、手打ち、腰痛、ぽっこりお腹……その原因は腹筋の弱さにあり!
●第5回:歩き方のきれいな美尻ゴルファーは、ゴルフが絶対上手くなる!
●第6回:ウエストにくびれをつくりながら、飛距離アップを目指す!
●第7回:身体を対角線に使う動きをマスターすると、スイングがスムーズ&パワフルに!
●第8回:足首や足裏にアプローチする地味系エクサイズこそ、スイングを安定させる必勝テク!
●第9回:股関節まわりの筋肉を伸ばすと、飛距離もゴルフ寿命もぐーんと伸びる!
●第10回:骨盤の動かし方を覚えて、歩いている時のような自然な体重移動を身につける!
●第11回:キュッと引き締まった太ももがスエーを防止! 安定したスイングで飛距離を伸ばす‼
●第12回:胸を開くと気持ちも上向きに! 上半身と下半身の捻転をスムーズにして、大きく飛ばす‼
●第13回:“ながら”でも効果絶大! スムーズなスイングをマスターするための股関節のエクササイズ