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アプローチの距離感コントロールのカギは、「足踏み」感覚!!

大西翔太コーチが教える「ゴルフスイングのツボ」 VOL.7

2020/12/18 ゴルフサプリ編集部

理論をわかりやすく展開し、実戦ですぐに役立つレッスンで大人気の大西翔太コーチ。
その大西コーチが、誰も知らなかったゴルフスイングのツボをこっそり教えてくれた。第7回はアプローチショットの距離感の合わせ方についてのレッスン。距離感が全然ダメというゴルファーには最高のヒントとなるはずだ。

歩く動作のナチュラル感覚をアプローチスイングに応用する

距離感は頭で考えてもダメ。目で見た感覚を頼りにスイングしよう

皆さん、こんにちは。ツアープロコーチの大西翔太です。今回はアプローチショットの距離感のコントロールの仕方についてお話したいと思います。皆さんもご存知のようにグリーン周りからのアプローチでは方向性も大事ですけれど、距離感がより重要です。プロたちはよく「タテ感」と口にしますが、左右のブレよりも前後のブレを少なく抑えることに気を配ります。タテの距離感が合わないとピンをオーバーしたり、手前にショートしたりしてスコアをロスしやすいからです。

アプローチの距離感の合わせ方はテークバックの大きさやスイングスピード、クラブを持つ長さ、スイングの力感など人によっていろいろと違うことと思います。でも距離感とは「感」です。頭で考えることではなくて、自分の感覚で表現すべきものです。「ピンまで30ヤードならどのくらいの振り幅で打てばいいのかな」とか、「テークバックとフォロースルーが左右対称になるように振ろう」などと思考をめぐらせても、自分の感覚が働かなくてはどうにもなりません。

プロたちがアプローチを打つ前のルーティンを見てください。ピンの方向を見ながら素振りを数回繰り返していますよね。これはどんな球でグリーン上のどの辺に落として転がしていくかのイメージ作りをしているのです。打つ前の素振りで狙った場所へと飛んでいき、グリーンに乗ってからピンに向かって転がっていくボールを映像でイメージする。このように目で見た感覚をもっと生かせば、タテの距離感が合いやすくなります。

スイングの大きさを頭で考えたり、手の動きで距離を合わせようとしたりするのはNGだ。
ピンを見ながら素振りを数回繰り返して、アプローチショットのイメージ作りをすることがとても大切。

足踏みの出力で腕の振幅の大きさが変わり、距離感を合わせやすくなる

ところでボクが距離感をどのように合わせているかというと「足」です。足踏みの感覚とか足踏みの出力と考えてください。歩くときも歩幅が小さいときは腕をあまり振りませんよね。でも大股で歩くときは腕を大きく振るでしょう。ボクはそんな感覚をアプローチに応用しているのです。

ピンが近いときは小さい足踏みをすれば、腕の振幅が自然と小さくなる。ピンまでの距離が遠くなると足踏みを大きくしていく。すると振り幅が自然と大きくなる。腕の振幅の大きさでスタンス幅も変わってきます。

アプローチのような小さいスイングでも腕や手に頼らずに、お腹の回転を主体にしてスイングすることがとても大切です。お腹が回転すれば骨盤だって回転します。骨盤が回れば両足も軽く足踏みするように自然に動きます。左右の重心移動にともなって、両ヒザが前後に小さく動くのです。バックスイングでは右足の重心はカカト側に移動して、左足はツマ先側に移動します。ダウンスイング以降では左足の重心がカカト側に移動して、右足はツマ先側に移動します。この感覚は両足を軽く足踏みしながら素振りを繰り返すとよくわかります。

「アプローチは下半身を止めて腕を振ろう」と考えては足踏みの感覚を封じ込んでしまうことになります。ピンが近いアプローチを打つときに、プロたちのスイングを見ると下半身がほとんど動いていないように見えるかもしれません。でも動いていないように見えるだけで、小さい足踏み感覚で下半身を動かしているのです。足踏みをどんどん大きくしていった延長がドライバーなどのロングショットなのです。

打つ前の素振りでアプローチのイメージ作りをするときに、軽く足踏みしながらスイングしてみてください。歩くタイミングをそろえればスイングのリズムやテンポが一定しやすくなります。ボールを正確にヒットでき、タテの距離感が合ってきます。

ボクはジュニアゴルファーたちにレッスンするときに、「感育」という言葉をよく使います。「かんいく」、つまり自分の感覚を育てるということです。皆さんもアプローチのスイングを理詰めで考えないで、目で見た感覚や自分が本来持っている感覚を最大限に生かしてください。感覚の成長が、アプローチの上達に直結します。

歩くときの動作をアプローチのスイングに生かすことを考えよう。
足踏み感覚を取り入れればスイング中の重心移動がスムーズになり、リズムやテンポも一定しやすい。
小さいスイングでも、お腹の回転主体でスイング。骨盤の回転と足踏みを同調させるのがコツだ。
ピンが近いアプローチは小さい足踏みでOK。
ピンまでの距離が遠くなるほど足踏みの出力を大きくすれば、腕の振幅も自然と大きくなる。

最後に動画でチェック!

足踏みの動作をアプローチスイングに応用すればタテの距離感が合いやすい。ベタピンの回数がだって増える!

※動画はショット音が流れますので音量にご注意ください。

大西翔太
おおにし・しょうた/1992年6月20日生まれ、千葉県出身。水城高校ゴルフ部を経てティーチングプロの道に進む。日本プロゴルフ協会公認A級の資格を取得。現在はジュニアの育成に尽力する一方で、青木瀬令奈のコーチもつとめる。メンタルやフィジカルの知識も豊富。女子ツアープロの大西葵は実妹。

取材・文/三代 崇
写真/渡辺義孝
協力/船橋カントリークラブ



大西翔太コーチが教える「ゴルフスイングのツボ」

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【シリーズ一覧】
●第1回:テークバックの始動で左前腕部を少し「外旋」させるのが真っすぐ飛ばすコツ
●第2回:バックスイングでは左ヒザをなるべく動かさないように「我慢」しよう
●第3回:手やグリップをカラダから遠ざける感覚でダウンスイングしよう
●第4回:今どきのアイアンは、スイング軌道の最下点でボールをとらえるのがいい
●第5回:タオルを使った練習法でスイング軌道とクラブの入射角を整えよう
●第6回:アプローチの打ち方はシンプルがベスト! 手先に頼った複雑なスイングはもうやめよう
●第7回:歩く動作のナチュラル感覚をアプローチスイングに応用する
●第8回:ボールの1個手前をめがけて、クラブを鈍角に入れるのが今風のバンカーショット
●第9回:カップを大きな円と仮定し、アプローチ感覚でストロークすればタッチが合いやすい
●第10回:タイガーのようにカップを狙い撃ちするつもりでストロークするのがコツ!
●第11回:フェースよりもソールを使うことを意識するとグッドショットの確率アップ