“ホーガン流”強いアイアンスイングの作り方〜 トップで止まらない「切り返し」の理由
アイアンが際立つ!強いスイングの作り方[第9回]
「トップで“間”を取るかどうかはゴルファーの考え方、意識で変わってきます。ホーガンの場合は、トップで止まる意識を持たない流れでスイングを作った」と森プロ。動き続ける「切り返し」のメリットとは?
GOLF TODAY本誌 No.584 73〜77ページより
ホーガン流スイング作り【課題8】ループ軌道にトライ
シャフトのトルクを解消する動き
ホーガンといえばオンプレーン理論の元祖。それなのに、なぜバックスイングとダウンスイングでプレーンを乗り換えるイメージになったのか。
「おそらくヒッコリーシャフトでスタートしたからです。ヒッコリーはスチールより重く、スイング時のトルク(ネジれ)も大きかった。だからフェース向きをコントロールしづらく、また切り返しで負荷をかけすぎると折れる危険性も高かったのだと思います。
たとえばボビー・ジョーンズも、インサイドに引いてからアップライトに下ろすループ軌道で打っていました。バックスイングから切り返しで余計なトルクを吸収できないと、安定したショットは打てなかったのでしょう」(森)
ホーガンの場合は、スナップ動作で強打するために、オーバースイングのトップから手元を下げるループ軌道にすることで、フェース向きを調整していたようだ。
フェース向きを狂わせるシャフトのトルクを調整する
ループ軌道ならシャフトの負荷を調整できる
シャフトをネジる
ヘッドを軸にするイメージ
「左腰のターンでリードしつつ、手元を下げてループ軌道に。このとき、ヘッドを軸にグリップで円を描くつもりで下げると、シャフトに左回転のトルクがかかります」(森)
脱力
左腕と左脚をしなやかに
「ホーガンは切り返しで一瞬脱力してから踏み込んで、一気に加速するスイング。ダウンの初動で上手く加速すると、ヘッドスピードをアップできます」(森)
<ループ軌道のヒント>手元を下げることでシャフトを絞っていく
つまみグリップドリルでトップを変えてみる
シャフトに続いてフェースがターン
シャフトが暴れずに入射角が安定する
バックスイングから“一筆書き”でダウン
手元での余計な操作をしなくなる
「ホーガンがスチールシャフトに移行しても、フックのミスが出てしまったのは、このループ軌道のせい、という考え方もできます。シャフトのネジれが抑えられたぶん、フェースが閉じやすくなったのかもしれません。
ですが、それに対するホーガンの対処は、フックグリップをスクエアに修正しただけです。さらに、オンプレーン理論を提唱してからも、ループ軌道のイメージは大切にしていました。
つまり、手先の動きに頼らずにヘッド軌道でフェース向きをコントロールできることで、飛距離と安定性にメリットを感じていたからだと思います」(森)
バックスイングよりわずかでもフラットに近いプレーンにスムーズに移行できるループ軌道のほうが、フェースの急激なターンもなく、確実にゆるやかな入射角でパワーを伝えられるスナップ動作のポジションに入りやすいのだ。
ホーガンアナリスト
森 守洋
ベン・ホーガンを手本としたダウンブローの達人・陳清波に師事。現在もホーガンの技術研究に余念がない。
取材協力/東京ゴルフスタジオ
●アイアンが際立つ!強いスイングの作り方 シリーズ一覧
第1回:スイングを育てる流れとは?
第2回:「フックで飛ばす」動きとは?
第3回:スナップ動作から作る「プレーン」
第4回:強い風に揺らがない「アドレス」
第5回:スタンスを“スクエアにしない”理由
第6回:スナップを磨くパッティング
第7回:アプローチを作る「ワッグル」
第8回:“負ける左腕”が生む低いフォロー
第9回:“トップで止まらない「切り返し」の理由
第10回:ホーガンの「フック病」が長引いた理由
第11回:常勝を呼び込んだグリップ改造の正体とは?