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“ホーガン流”強いアイアンスイングの作り方〜「フックで飛ばす」動きとは?

アイアンが際立つ!強いスイングの作り方[第2回]

2020/07/29 ゴルフサプリ編集部

10 代のホーガンは、年上のキャディ仲間に飛ばしで勝つために、風に強くランの出る中弾道のフックボールをマスターした。だが、飛ばしにはヘッドスピードも必要。スピードアップできる“動き”も磨いていたのだ。

ベン・ホーガン(Ben Hogan、1912~1997)
アメリカ・テキサス州出身。身長173㎝、体重68㎏。ツアー通算64勝。
メジャー3勝後の1949年に自動車事故で瀕死の重傷を負うが、翌年に復帰。以後、メジャーでは1953年の3冠を含む6勝を加え、グランドスラマーに。1948年に『パワー・ゴルフ』、1957年にレッスンのバイブルと呼ばれる『モダン・ゴルフ』を著し、現代でもそのスイング理論は多くのゴルファーに影響を与え続けている。

ホーガン流スイング作り【課題1】フックグリップにする

「ボールを叩く」入り口には最適なグリップ

10代前半でキャディの仕事に就き、ゴルフを覚えたホーガン。仕事の合間にキャディ仲間と練習し、仕上げのドラコンで負けた者が球拾いをするという中で、飛ばすことが最初の課題となった。

そのコースのプロ、テッド・ロングワースにフックグリップを教えられ、フックでランを稼いで飛ばすことをマスターし、17歳でプロになる頃には屈指の飛ばし屋になっていたという。

「この〝フックで飛ばす〟という練習が、ホーガンの飛ばしの原点です。フックを打つには、まずクラブフェースを閉じて当てるイメージと、インサイドからヘッドを振って、後ろからボールを叩く感覚が必要になります。

フックグリップは、その2つがカンタンになります。フェースが返りやすく、つかまりやすいことで手元のリキみが減り、ヘッドを走らせる身体の“動き〟を引き出せるんです」(森)

フックグリップの効用

1フェースを閉じやすい|フェースで“叩く”イメージを持つだけで、グリップをことさら操作せずにフェースターンを促せる。
ホーガンの左手はロングサムからスタート。振り回したいイメージが伝わってくる。
2手首のタメを作りやすい|重いクラブは、手首のタメでクラブの振りにくさ(慣性モーメント)を下げるのが速く振るコツだった。

【関連】アイアンを上達!打ち方のコツやスイング練習方法をプロが解説

「フックで飛ばす」3大ポイント

1フェースを閉じていく
「当時のトルクが大きかったヒッコリーシャフトでは、フェースを閉じて構えてもスイング中に開いてしまう。それよりも、開いたフェースを閉じながら当てる動きを意識する必要がありました」(森)
2インサイドから低く振る
「地面にあるボールは上から叩きがちですが、フックはボールの右側面を叩くイメージになる。右に打ち出すためにも、インサイドから緩やかな軌道でインパクトするようになります」(森)
3リキまないテークバック
「フェースコントロールもヘッドスピードアップも、イメージ通りにクラブを動かす秘訣は手元のしなやかさです。身体全体でヘッドを低く真っすぐ引く動きは、手元がリキまないバロメーターです」(森)

〈スピードアップのヒント〉フックグリップなら手首をしなやかに使える

飛ぶオーバースイングは手首のタメが大事!

意識するのは右手首の動き
身体がやわらかいからといって、肩や腰が回りすぎるオーバースイングはダメ。右手だけで“ボールを叩く”イメージで振り上げれば、身体が動きすぎることはない。

右手だけで、ヒンジングを意識して“右肩の後ろ”に振り上げてみる。手首のやわらかさ次第でオーバースイングになるぶんは構わない。

ヒンジングでタメたまま振り下ろしても、スナップ動作を利かせて叩くイメージを生かせば振り遅れることなくスピードアップできる。

フックグリップ+スナップ動作=低く長いフォロースルー

左手首もヒンジングで甲側に折って振り抜く
フックグリップの場合、スナップ動作でヘッドの走りを意識するほどインパクト直後に右手は甲側が伸び、左手は甲側に折れるのが自然。結果、ヘッドは低くインサイドに振り抜ける。アイアンではフックの度合いが減り、ドライバーでは弾道が低くなり、フックの曲がり幅が大きくなりすぎないメリットがある。

身体をターンし続けても、スナップ動作のリリースでヘッドは振り遅れずに低く振り抜ける。

リキまずに手首の可動域を広げられる

「プロレベルのボールコントロールには、フックグリップは不向きだと思います。ですがホーガンも私の師匠の陳清波も、プロ入り当初はフックグリップでした。共通点は風の強いコースで育ったこと。低いフックが武器になったわけですが、結果的にこれがシニアになっても飛距離を出せる〝身体の動き〟の基礎となったのだと思います」(森)

フックグリップは手の動きがしなやかになるのがポイント。

「スイングは〝利き手で叩く〟が大基本。打面を意識して、ボールをポンと叩く。

飛ばしには、運動連鎖とか地面反力が必要とか言いますが、まずは手元をリキませず、しなやかなスナップの動きが絶対条件。

フックグリップはソフトな握りでもフェースの開閉を抑えやすく、手首のタメも深くしやすい。スイング中、スナップ動作を実行しやすくなるんです」(森)

ホーガンアナリスト
森 守洋
ベン・ホーガンを手本としたダウンブローの達人・陳清波に師事。現在もホーガンの技術研究に余念がない。

取材協力/東京ゴルフスタジオ 写真/Getty Images

GOLF TODAY本誌 No.577 81〜85ページより


アイアンが際立つ!強いスイングの作り方

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●アイアンが際立つ!強いスイングの作り方 シリーズ一覧
第1回:スイングを育てる流れとは?
第2回:「フックで飛ばす」動きとは?
第3回:スナップ動作から作る「プレーン」
第4回: 強い風に揺らがない「アドレス」
第5回:スタンスを“スクエアにしない”理由
第6回:スナップを磨くパッティング
第7回:アプローチを作る「ワッグル」
第8回:“負ける左腕”が生む低いフォロー
第9回:“トップで止まらない「切り返し」の理由
第10回:ホーガンの「フック病」が長引いた理由
第11回:常勝を呼び込んだグリップ改造の正体とは?