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ホーガンの「フック病」が長引いた理由

アイアンが際立つ!強いスイングの作り方[第10回]

2021/03/31 ゴルフサプリ編集部

20代のホーガンは、ツアーで戦えるだけのスコアを出せる実力があったが、肝心なところで大フックが出て、勝ち星を逃していた。なぜ、突発的なフックが抑えられなかったのか。スイングの“基本パーツ”にその理由があった。

GOLF TODAY本誌 No.585 73〜77ページより

ホーガン流スイング作り【課題9】飛ばしながらフックを防ぐ

飛距離が落ちるカット打ちは選択肢にはない

プロとして競える腕前になっても、突発するフックのミスに悩んだホーガン。

「ミート率やスイングの再現性、アドレスでのエイミングなどは、すでに高いレベルになっていたはずですが、フェースコントロールの方法の決め手に欠けていたんだと思います。リズムやテンポが整っているときはショットが安定していても、優勝争いなどで少しでもズレが生じると、フェースが返りすぎる動きを抑えられなかったんでしょう」(森)

ミート率が高ければ、スライスやフェードの要素を採り入れて解消できたのでは?

「もちろん、アウトサイドに振り上げるカット打ちなども試したようですが、これだと飛距離は落ち、風にも弱くなる。プレッシャーのかかる場面でも、強く叩ける要素を生かしつつ、フックを解消したいからこそ試行錯誤を繰り返し続けたんだと思います」(森)

ベースとなるアドレスは完成

フェースとシャフトを飛球線とスクエアに合わせ、それに合った叩ける右腕のポジションを決める。ボール位置から左足の位置を決め、右足の位置を調整してアドレスが決まる。
ワッグル動作で、インパクトのリハーサルとスイングのテンポをチェック。フェースの動きも把握して、始動する。

最高出力を生むループ軌道が両刃の剣に

止めないトップで8の字ループに

ヘッドがトップに到着する前に、腰のターンでダウンを先行させると、シャフトは寝てヘッドはバックスイングよりフラットな軌道でダウンに入る。これがループの動きだ。

“ヒールが下がる”でフェースターンが始まる

切り返し後のヘッドはヒールが下がりながらダウンの軌道に入る。「フェースが返る動きの慣性が働くので、つかまえる動きがイージーに。それだけ強く叩けるが、フックのミスも出やすくなる」(森)

<大フック防止のヒント>スイング中のフェースの動きを感じ取ってみる

スイングの6カ所でフェース向きをチェック

スローな動きでポジションを確認

ヘッド軌道を意識しながら、腰の高さ(テークバック、ダウンスイング、フォロースルー)と切り返し、フィニッシュでのフェースの向きをチェック。最初は止めながら、次にスイングの動きをつなげながら、インパクトでスクエアになるように合わせていく。

ループの幅を狭めるのにハーフスイングが効く

腕と体の一体感をグリップ修正の前に整える

「ホーガンは最終的に、ヘンリー・ピカードの助言からフックグリップをスクエアに修正したことで、フック病を克服するきっかけをつかみ、ツアー優勝できるようになりました。

ですが、ただ単純にグリップを修正しただけでは、シャンクやすっぽ抜けのミスにつながったはずです。ホーガンのマネをしても、上手くいくとは限りません。グリップがフェースの向きを返りにくくするだけで、打点もヘッド軌道もほとんど変えなくて済んだホーガンだからこそ、すぐに効果が出たのだと思います」(森)

ポイントは、腕の振りと体のターンの一体化にあるという。「ホーガンはハーフスイングで、手元に頼らず体の動きにまかせてヘッドを振る動きを身に着けることを提唱していました。この動きによるスナップ動作を促したからこそ、スクエアグリップでフック解消ができたのです」(森)

ソフトグリップでヘッドはフリーにする

「ホーガンが『モダン・ゴルフ』で提唱したハーフスイングは、体のターンと腕の振りを一体化させるドリル。左右対象ではなく、サイドスローのイメージで、ヘッドを背中側から振り出すようにするのがコツ。グリップをソフトにして、高く上げたヘッドを目標に放り出すようにしてください」(森)

ベン・ホーガン

(Ben Hogan、1912~1997)
アメリカ・テキサス州出身。身長173㎝、体重68㎏。ツアー通算64勝。
メジャー3勝後の1949年に自動車事故で瀕死の重傷を負うが、翌年に復帰。以後、メジャーでは1953年の3冠を含む6勝を加え、グランドスラマーに。1948年に『パワー・ゴルフ』、1957年にレッスンのバイブルと呼ばれる『モダン・ゴルフ』を著し、現代でもそのスイング理論は多くのゴルファーに影響を与え続けている。

ホーガンアナリスト
森 守洋
ベン・ホーガンを手本としたダウンブローの達人・陳清波に師事。現在もホーガンの技術研究に余念がない。

取材協力/東京ゴルフスタジオ


アイアンが際立つ!強いスイングの作り方

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●アイアンが際立つ!強いスイングの作り方 シリーズ一覧
第1回:スイングを育てる流れとは?
第2回:「フックで飛ばす」動きとは?
第3回:スナップ動作から作る「プレーン」
第4回:強い風に揺らがない「アドレス」
第5回:スタンスを“スクエアにしない”理由
第6回:スナップを磨くパッティング
第7回:アプローチを作る「ワッグル」
第8回:“負ける左腕”が生む低いフォロー
第9回:トップで止まらない「切り返し」の理由
第10回:ホーガンの「フック病」が長引いた理由