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“体をフルに使っている” 渋野日向子のアイアンショット連続写真解説

お腹・左腕・股関節。見るべきところの多い参考書的スイング

2021/07/17 ゴルフサプリ編集部

アマチュアゴルファーにとってツアープロのスイングは、見ているだけでも勉強になること間違いなし。

そこで、日本女子ツアーの実力者たちのドライバースイング写真を長岡良実プロによる細かな解説とともに、じっくりと堪能していただきたい。

すべてを真似ることはできないとは思うが、参考にすべきポイントは多々ある。継続的に見返すことで、良いスイングイメージが頭に刷り込まれていくことは間違いない。

今回は渋野日向子(サントリー)のアイアンショットの連続写真。ドライバー同様、フィニッシュまで一気に振り抜かれていくアイアンのスイングには、アマチュアにとってどんなヒントが隠れているのだろうか。(スイング写真は2019年スタンレーレディスゴルフトーナメント練習日)

アマチュアが参考にすべき点の多いスイング

渋野選手のスイングは深い前傾で低い重心のアドレスから、両腕の三角形がキープされたまま、下半身主導で体をターンして一気にフィニッシュまで振り抜いて行きます。

渋野選手のアイアンショットのトップは、コンパクトに見えますが、右の背中が見えるぐらい深く肩が入って、捻転は十分です。特徴的なのは、切り返しで左手首を掌屈しシャローアウトさせる動きです。これは、上田桃子選手やダスティン・ジョンソンの切り返しの動きに似ています。

逆に切り返しで左手首を背屈(甲側に折る動き)させてしまうと、フェースが開き、クラブヘッドがアウトからスティープに下りてきやすくなります。アマチュアの方は、注意が必要ですね。

渋野選手のスイングには、アマチュアの方が参考にすべき点がたくさんあります。では、連続写真でチェックしていきましょう。

渋野日向子のアイアンショット|アドレス

渋野選手の7番アイアンのスイングですが、スタンス幅は肩幅より若干広めのワイドスタンスです。胸の上に乗せた両腕はリラックスし、綺麗な三角形が形成されています。ボールは左目の下にセットされ、左腕とシャフトが一直線になるハンドファーストでアドレスをしています。

渋野日向子のアイアンショット|バックスイング①

左のお腹、左肩が回り、右足にしっかり体重が乗って、両腕の三角形の形が変わらずにテークバックしていきます。アマチュアの方に真似して欲しいポイントは左手のグリップをしっかり握り、低く押し込むように引き始めるところです。

渋野日向子のアイアンショット|バックスイング②

P2ポジションで 胸が右斜め下を向き、手元が低いままバックスイングしていきます。このポイントでスタンス向きとシャフトが平行になるようにアマチュアの方も常にチェックしましょう。

渋野日向子のアイアンショット|バックスイング③

構えた時の手首の角度が変わらないまま、右股関節に体重が乗っています。左腕が低く動くことで、肩が深く入り、クラブヘッドは勝手に上に上がっていきます。アマチュアの方の多くは、バックスイングで手元を上に上げようとするので、コックが入らずに肩関節が持ち上がり、肩の入りが浅くなりがちなので注意しましょう。

渋野日向子のアイアンショット|トップ(切り返し)

コンパクトなトップ位置に見えますが、お腹まわりがしっかりターンしているので、右の背中が見えるぐらい深く肩が入っています。そして切り返す瞬間、特徴的なのが左手首を掌屈しシャローアウトさせる動きです。

渋野日向子のアイアンショット|ダウンスイング①

切り返しで右股関節から左股関節に体重を移動させ下半身リードしています。まだ胸は右を向き、胸と手の距離が変わらない深いタメが作れています。アマチュアの方が参考にすべき点は、ここで左腰と左肩の高さが変わらずにダウンスイングしており、重心が低くキープされている部分です。

渋野日向子のアイアンショット|ダウンスイング②

両足でしっかり地面をつかみ、ボールを強く叩ける格好になっています。グリップエンドがボールの少し先を指したあたりで、右腕のリリースが始まります。アマチュアの多くは、胸の開きが早く、手元が浮くためコックが解けアーリーリリースになりやすいので、 渋野選手のようにギリギリまで胸の開きを抑えることが大事です。

渋野日向子のアイアンショット|ダウンスイング③

左股関節に体重が乗り、前傾姿勢が変わらないので手元が低く下ろせています。注目してほしい点は、ボールの真上に手元が来た時にクラブヘッドはまだ右側にあります。しっかりとハンドファースト、ダウンブローでインパクトしているのが分かります。

渋野日向子のアイアンショット|インパクト(直後)

腰の開きが45度前後、胸の開きは少し。頭がしっかり残った理想的な形でインパクトしています。そして、ハンドファーストでインパクトしたので、左足前で左腕とシャフトが一直線になります。

渋野日向子のアイアンショット|フォロー①

P8ポジションでも頭が残り、前傾角度が崩れずに振り抜いています。アドレスからフォローまで下半身主導の回転で打っているので、両腕の三角形がキープされています。そしてクラブフェースを見ていただくと分かるようにフェイスローテーションも抑えられています。

渋野日向子のアイアンショット|フォロー②

左股関節に体重が乗りながらも腰が切れ 、詰まることなく左へ振り抜けています。インパクト後に腰の回転が止まると、腕を振り抜くスペースがなくなり、ヒジが引けたり、左ではなく上方向に振ってしまい、飛距離ロスや曲がる原因になるので注意しましょう。

渋野日向子のアイアンショット|フォロー③

左足上に体重がしっかり乗り腰が回りきっています。右腕はまだ伸びて、大きなスイングアークを描きながらフィニッシュへと向かいます。

渋野日向子のアイアンショット|フィニッシュ

左足上まで右腰が回り切り、右足は綺麗に伸びてツマ先立ちして、背中が全部見えるほど上半身も回りきっています。両腕が体に巻き付き、非常にバランスの良いフィニッシュになっています。


渋野日向子(サントリー)。しぶの・ひなこ。1998年11月15日生まれ。167㎝。2019年、ワールドレディスチャンピオンシップ サロンパスカップでツアー初優勝。その後出場したAIG全英女子オープンでも優勝して大ブレイク。天真爛漫な笑顔で大人気に。2020年に出場した全米女子オープンでは最終日を単独首位で迎えたが、最終的には4位でフィニッシュ。
解説:長岡良実。ながおか・よしみ。1972年生まれ。茨城県出身。習志野CCの研修生となり林由郎に師事し1999年にプロテスト合格。動画で受講できる「長岡プロのゴルフの知識」では高い技術と理論をもとにわかりやすいレッスンを展開中。また、Youtubeチャンネル「長岡プロのゴルフレッスン」も好評。


撮影トーナメント/2019スタンレーレディスゴルフトーナメント
撮影/相田克己

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