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地面反力で飛距離30ヤードUP! セキ ユウティンのドライバースイングを写真で解説

肉体とスイングの改造に成功!飛距離と安定性が大幅アップ

2020/07/29 ゴルフサプリ編集部

向上した柔軟性、強化された体幹を生かした効率的スイング

アマチュアゴルファーにとってツアープロのスイングは、見ているだけでも勉強になること間違いなし。

そこで、日本女子ツアーの実力者たちのドライバースイング写真を長岡良実プロによる細かな解説とともに、じっくりと堪能していただきたい。

すべてを真似ることはできないとは思うが、参考にすべきポイントは多々ある。継続的に見返すことで、良いスイングイメージが頭に刷り込まれていくことは間違いない。

2016年の中国ツアーの賞金女王として、2017年から日本女子プロゴルフツアーに本格参戦するも、思うような結果を残せず悔しいシーズンを過ごしたセキ ユウティン。しかし、2019年はステップ・アップ・ツアー「日医工女子オープン」で初優勝、さらに同年のプロテストにも合格! その背景には、肉体強化とスイング改造、それによって手に入れたドライバーの飛距離アップがあった!

効率的シーケンス(体の動き)で向上したパワーを上手に使いこなしている

大幅に遅れて開催された日本女子プロゴルフツアーの2020年の開幕戦「アース・モンダミンカップ」では13位タイと健闘したセキ ユウティン選手。聞くところによれば、ドライバーの飛距離が3年前に比べて30ヤードも伸びたということです。

たしかに3年前は、線の細い選手という印象でした。ですが、現在のセキ ユウティン選手は、あきらかにフィジカルの強さが感じられる体格へと進化しています。相当な努力があったのではないでしょうか。

セキ ユウティン選手は手先で小細工せず、体の回転でスムーズに振り抜いていくタイプの選手です。顔の向きを無理に残そうとせずに体のターンに合わせて右へ、左へと向きを変えることで、シンプルかつスムーズに回転することを心がけているように見受けられます。では、セキ ユウティン選手のスイングを見ていきましょう。

セキ ユウティンのドライバースイング|アドレス

セキ ユウティン選手のアドレスは、お手本と言ってもいいきれいなアドレスです。グリップはあまりストロングではなく、スクエアなグリップです。ボールポジションは、左カカト線上からボール一個分右側。スタンス幅は、肩幅より若干広めで、あまり前傾角度を深くせずに力みなく構えています。

セキ ユウティンのドライバースイング|バックスイング①

スタンスの幅の中で捻転をしてスイングするタイプなので、始動で極端に大きく右足に体重を乗せず、両肩と手を結んだ三角形をキープし、手首を使わずテークバックしていきます。

セキ ユウティンのドライバースイング|バックスイング②

P2ポジション(ハーフウェイバック)でも両腕の三角形はキープされ、体のターンによってバックスイングしていきます。フェース面は開かず、前傾角度と平行な面を維持しています。後方から見ると若干インサイドにクラブを引いています。

セキ ユウティンのドライバースイング|バックスイング③

まったくスウェーせずにその場で螺旋状にねじりあげていくようにターンを続け、顔の向きも無理にボールを見続けず、体のターンに合わせて少し右に向くように体に負担をかけずにターンしています。

バックスイングで肩の入りが浅く、スライスなどのミスショットをしてしまうアマチュアの方はセキ ユウティン選手のように、顔の向きを体のターンと一緒に回してあげると深く回れるようになります。

セキ ユウティンのドライバースイング|トップ(切り返し)

手元の位置を奥に、そして高く振り上げています。スカートの左太モモから右股関節にかけて、上半身の左ワキ腹から背中にかけて斜めにシワが入り、その場で深く捻転されてパワーがたまっているのがわかると思います。

セキ ユウティンのドライバースイング|ダウンスイング①

左ヒザをアドレスの位置に戻し、右足はキックインせず、強く地面に対して踏み込んでいます。腰が正面を向いた時に、胸はまだ右を向き、インサイドから強く叩ける格好で切り返しています。この捻転差が、大きな飛距離を生む体の動きのシーケンス(順序)です。

セキ ユウティンのドライバースイング|ダウンスイング②

両足で地面に対し圧力をかけ、胸が右足方向にフォワードベント(前傾)し、右サイドでパワーをためています。

セキ ユウティンのドライバースイング|インパクト(正面)

正面の写真のクラブヘッドを見てもらうと、ティアップされたボールよりもフェース面が低い位置にあり、アッパーブローでボールをとらえていることがわかります。ロースピンで打つために重要なポイントです。ドライバーが苦手な方は、右足前が最下点くらいのつもりで振るとセキ ユウティン選手のようにアッパーブローで当たりやすくなるので試してみてください。

セキ ユウティンのドライバースイング|インパクト(後方)

後方からの写真を見てみましょう。ダウンスイングで踏み込んだ足をインパクトからフォローにかけて蹴り上げていきます。上半身はフォワードベントから右へのサイドベント(側屈)に変わっていきます。

インパクト直前から上半身が起き上がり、手元が浮くと左右へのミスショットがでてしまうので、セキユウティン選手のように、インパクトの瞬間はボール方向へしっかりと上半身を倒すことが大事です。

セキ ユウティンのドライバースイング|フォロー①

両足で地面を強く蹴り、体を左へターンしていきます。ここでもセキ ユウティン選手は、頭の位置は残しつつも顔の向きは体のターンに合わせて無理に残さずターゲット方向へ向けていきます。アマチュアの方もヘッドアップせずにインパクト後もずっと下を見ていると、体のターンが止まってしやすいので注意しましょう。

セキ ユウティンのドライバースイング|フォロー②

ルックアップしながらフォロースルーをとっていくので、この段階で目線は目標を向いています。体の回転で振られた腕やクラブが、大きいアーク(弧)でフォロースルーがとられています。

セキ ユウティンのドライバースイング|フィニッシュ

その場でローテーションし、地面反力を使いながら力強くスイングしたのにフィニッシュからは“力んで振った”感じがまったく見られません。強い体幹と柔軟性、良いリズムからスイングされた結果、左足上に体が乗ったIの字フィニッシュとなっています。

セキ ユウティン(ミツウロコグループホールディングス)
せき・ゆうてぃん(Seki Yuting)

1998年3月5日生まれ。福井県出身。4歳まで日本で過ごし、中国で7歳からゴルフを始める。2016年に中国ツアーで初勝利を挙げ賞金ランク1位になると、翌年の17年から日本ツアーに参戦。19年はステップ・アップ・ツアー「日医工女子オープン」で優勝し、プロテストにも合格。2020-21年シーズンは、レギュラーツアーでの活躍が期待される注目株。愛称は“ティンティン”。

解説:長岡良実。ながおか・よしみ。
1972年生まれ。茨城県出身。習志野CCの研修生となり林由郎に師事し1999年にプロテスト合格。動画で受講できる「長岡プロのゴルフの知識」では高い技術と理論をもとにわかりやすいレッスンを展開中。また、Youtubeチャンネル「長岡プロのゴルフレッスン」も好評。

撮影:圓岡紀夫(2020年)

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