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町島久晴がレクチャーする90を切るための賢いコースマネジメント・Vol.14
思考をちょっと変えればミスが減る!スコアもまとまる!
アプローチがうまく打てたかどうかでスコアが大きく変わることは、経験上、よく知っているでしょう。でもピンの近くに寄せようと頑張りすぎてもあまり結果につながりませんよね。「寄せワンが取れたら最高ですが、3打で上がれたらOKと考えることが大事ですよ」と町島久晴プロは言う。
町島久晴
まちじま・ひさはる/1968年生まれ、茨城県出身。地元の茨城県を拠点に多くのアマチュアゴルファーをレッスン。聴覚障害者のゴルファーにも手話でレッスンを行っていることで評判のティーチングプロ。
グリーン周りからは「3打」で上がればOKと考えよう
強引にピンを狙いにいくと、ダボやトリプルを叩くリスクが大きい
セカンドショットでグリーンに乗らなかったけれど、3打目のアプローチはボールのライが良好でピンまでは30ヤード。こんな場面ではピンの近くに寄せてワンパットのパーでホールアウトしたいところですよね。でも、結果を求めすぎると失敗しやすいのがゴルフの怖いところ。ピンの近くに止めようとして強く打ちすぎてピンを大きくオーバーしたり、距離をうまく合わせようとしてインパクトが緩んでザックリしたり…。そんな苦い経験が何度もあるでしょう。
好条件がそろっていれば、そこから2打でホールアウトしたいのがゴルファーの正直な心情です。でも「4」を打たないために「3打で上がろう」と最初から決めておくのがベストだと思います。ピンそばにつけようとして大ダフリでショートしたりシャンクしたりして無駄な1打を払うのとは気持ちの上で全然違います。
次のホールに向けてのモチベーションのことも考えないと、「オレは何をやってるんだ」と心が折れて、そこからプレーがガタガタと崩れてしまいやすいのです。その点、「3打でOK」と決めておけば肩ヒジ張らなくていいし、余裕を持って攻めていくことができます。
なるべくなら上りのパットを残すのが理想ですが、オーバーしてはダメとばかりに手前からいきすぎてショートしすぎるのもよくありません。どっちつかずの心理状態のままではトップもダフリも生じやすいのです。ピンまで20〜30ヤードくらいのアプローチであれば「ピンの周り3メートル圏内につけたらいいな」と思うのがいいでしょう。
ちなみにボールがグリーン手前の花道にあれば、ピッチングウェッジや9番アイアンを使って、できるだけ低くコロがすほうがピンに寄せやすいといえます。ラフの場合は低く転がすのは難しいですから、アプローチウェッジかサンドウェッジを選択し、ある程度の高さに上げるのがベターです。
ミスの経験を上手に生かして、アプローチのイメージづくりをしよう
ピンまで30ヤードのアプローチを打って20ヤードしか飛ばず、ピンの手前10ヤードもショートしてしまった。だとしたらこのスイングでは10ヤードショートするんだなという情報を頭にインプットしておきましょう。後々のホールで似たような場面にきたら、「さっきはこのスイングで10ヤードショートしたから、もう少し大きめにスイングしよう」と決めて打ちましょう。こうした積み重ねが大切です。
もう一つ大事なのはアプローチを打つときは、ピンまで30ヤードならどういう30ヤードかを見ること。手前のグリーンエッジまでは10ヤードなのか、あるいは20ヤードなのか。それによってキャリーを何ヤード、グリーンに乗ってからのランは何ヤードで、どういう風に転がるのか。こうしたイメージづくりがとても重要です。そのとおりに打てるかどうかは別として、こうした癖をつけて自分がイメージして打った結果をよく覚えておくことです。
ピンまで50ヤードのアプローチもそうです。どういう50ヤードなのか。バンカー越えなのか、手前の花道が広くなっているのか、ピンがグリーンの奥なのか手前なのか。失敗したら、それも覚えておきましょう。ミスするのが悪いのではありません。ミスを経験として記憶にとめて今後のプレーに生かすことが大事であって、失敗の経験をまったく生かせずに毎回毎回行き当たりばったりのプレーばかりしては進歩がないということです。
池越えの40ヤードのアプローチの場面を考えてみましょう。多くのアマチュアが苦手とするシチュエーションですが、ここでミスしてしまうのは気持ちの整理ができていないからです。手前の池に入れたくない。でもピンの近くに寄せたい。こんな心理状態ではインパクトが緩んで手首をこねてしまい、トップやザックリが生じやすくなります。
こんな場面で「3打で上がればいい」という決断が奏効するのです。「さっきの30ヤードのアプローチでこのくらいの振り幅で打ったら5ヤードくらいオーバーしたな」といった情報を頭にインプットしていれば、「あの場面よりももう少し大きく振ろう」と決めて打つことができます。池に入れないためにも「5ヤードくらいピンをオーバーしてもOK」と割り切って打つのもいいでしょう。
池越えの状況とならないように、ピンに向かって打たないのも一つの手です。次のパットが10メートル以上の長いパットとなるけど、アプローチよりもパットで頑張ろうという考えが良い結果につながることもあるのです。結果ばかり求めて何でもかんでもピンを狙いにいくのではなく、ちょっと遠回りするとか一歩引くといった謙虚な気持ちになってアプローチを打ちましょう。
〈POINT〉
・グリーン周りからは「3打で上がる」と決めておく
・打つ前に必ずアプローチのイメージづくりをする
・なんでもかんでもピンを攻めにいかず謙虚にプレー
・池越えなどのアプローチは一歩引く作戦もアリ
取材・文・写真/三代 崇 協力/サザンヤードCC
【シリーズ一覧】
●Vol.1:コースマネジメントの肝は「いいショットを打とう」と思わないこと
●Vol.2:練習場のマットをイメージするだけで方向が安定しやすい
●Vol.3:ピンよりも手前のエッジまでの距離を確認しよう
●Vol.4:ボギーペースに徹すればパーセーブの回数も増える
●Vol.5:フェアウェイの幅を広く使えばティーショットの成功率がアップ
●Vol.6:パットを打つときはラインの奥側からも傾斜をチェックしよう
●Vol.7:パー5ホールは2打目と3打目のつなぎを考えよう
●Vol.8:ドッグレッグは自分の飛距離を計算に入れてターゲットを絞る
●Vol.9:バンカーショットは打つ前に近くの芝で素振りして感じをつかんでおこう
●Vol.10:フェアウェイが狭いホールはドライバーで打つリスクを考えよう
●Vol.11:アイアンショット、これだけのツボを抑えておけば5打縮まる
●Vol.12:打ち下ろし&打ち上げは景色に惑わされないで普段通りにスイングしよう
●Vol.13:ピンを狙っていいときと狙ってはいけない場面を見極めよう
●Vol.14:グリーン周りからは「3打」で上がればOKと考えよう
●Vol.15:3パットを減らすコツを知ればベストスコアを出せる
●Vol.16:風が強い日は風に逆らうだけ損。シンプルに考えてスイングしよう
●Vol.17:林からの脱出は、次のショットにしっかりつなげる意識を持とう