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町島久晴がレクチャーする90を切るための賢いコースマネジメント・Vol.17

思考をちょっと変えればミスが減る!スコアもまとまる!

2020/07/10 ゴルフサプリ編集部

ティショットを曲げて林の中に打ち込んでしまった。こんなときは第2打の考え方次第でスコアの結果が大きく変わる。「ここでティショットのミスを取り返そうとする人が多いけど、そんな思考が大叩きを招きやすいのです」と町島久晴プロは言う。林から確実に出し、スコアのロスを最小限に食い止めるコツを教えてもらおう。

町島久晴
まちじま・ひさはる/1968年生まれ、茨城県出身。地元の茨城県を拠点に多くのアマチュアゴルファーをレッスン。聴覚障害者のゴルファーにも手話でレッスンを行っていることで評判のティーチングプロ。

林からの脱出は、次のショットにしっかりつなげる意識を持とう

強引にグリーンの方向に打つのは危険。広いスペースからフェアウェイに戻そう

ドライバーショットでボールを大きく曲げてしまい、無情にも林の中へ。「あ〜、やっちゃった」とぼやきながらセカンド地点に行ってみると、その場所からグリーンが少しだけ見えます。でもグリーンの方向に打つには、ボールの先20ヤード地点の2本の木が障害となり、うまく通り抜けるのは困難な状況です。こんな場面で、あなたはどうしますか?

グリーンが見えているのならイチかバチか狙ってやろう。そう考えたとしたら、スコアを大きくロスしてしまう可能性大です。ショットの調子がいい日は90台の前半が出るけど、調子が良くない日は100を軽くオーバーという人はこうしたギャンブルショットに走ってしまうからです。
 
ティショットを林に打ち込んでしまうと、1打を損したような気分になるかもしれません。でも、そこで挽回しようとして強攻策に走ってしまうとボールが前方の木に当たって跳ね返ったり、林のさらに深い場所まで飛んだりして、大叩きにつながりやすいのです。

ここはパーをきっぱりと諦めましょう。パーは無理でもボギーを取れる可能性はまだ残されています。スペースが広くなっている場所からフェアウェイに戻して3打目につなげる安全策が正解です。林に打ち込んでしまった代償として、「1打を払ってプレーを続行する」という考え方です。OBとは違い、「1ペナと同じ」と思えばいいのです。

3打目をフェアウェイから打てればグリーンオンのチャンスが残されていますし、ボギーで上がれる確率も高くなります。うまくいけばパーセーブの可能性だってあります。林からの脱出では確率の低い攻略を選択するのは避けるべきです。1歩引いて攻めることを覚えれば、スコアのロスを最小限に食い止められるはずです。

林からの第2打。グリーンがちょっと見えるが、前方の木が大きな障害となっている。
ティショットのミスを取り返そうと無理にグリーンの方向に打とうすると大叩きの危険性大だ。
パーはいったん諦めて、フェアウェイに安全確実に出してボギー狙いでいこう。

脱出の1打は安易に打たないで、3打目でグリーンが狙える場所に運ぼう

ただし、「林から出すだけでいい」と安易に考えてはいけません。ピッチングウェッジを持って、アプローチショットのつもりでチョコンと当てるだけではキャリーが不足してフェアウェイの手前のラフで止まったり、思った以上にボールが高く上がって前方の木の枝に当たって跳ね返ったりしやすいのです。

3打目につなげたいのですから、林からの脱出の1打をおろそかにしないことが大切です。フェアウェイのどの辺に運んでおけば3打目でグリーンやピンが狙いやすいのか、前方の木の枝に当てないためにはどのクラブで打つのがいいか、などを考えてから打つようにしましょう。

打つ前にフェアウェイまで歩いていき、フェアウェイに届かせるまでは何ヤードくらいのキャリーが必要なのか、3打目が打ちやすい地点までの距離がどのくらいなのかを確かめることです。

ボールが上がりすぎると木の枝に当たる心配があるなら、6番アイアンくらいがオススメ。アプローチショットくらいの小さい振り幅でもキャリーが50ヤード近く出ますからフェアウェイへと運ぶには有効的です。スタンスはやや狭めにし、ボールの位置はスタンスの中央か1個ぶん右足寄り。両手は左モモのツケ根の前。そしてクラブを短く持ち、パターのイメージでボールを横から払い打つのがコツです。
 
林の中は芝がなくて、土がむき出しになっているケースがほとんど。ボールをうんと右に置いて上から鋭角に打ち込んでしまうとインパクトが詰まってダフリが生じやすいので注意しましょう。打つ前にパターを手にしているイメージでロングパットを打つ感覚の素振りを数回繰り返して感じをつかんでおくとミスを防げます。

打つ前にフェアウェイに届かせるには最低でもキャリーがどのくらい必要かを確かめておく。
フェアウェイのどの辺に運んでおけば3打目でグリーンが狙いやすいかの目星をつけることが大切だ。
林から低い球でフェアウェイに戻すには6番アイアンが最適だ。
ボールをスタンスの中央付近に置き、両手を左モモのツケ根の前にセットして軽くハンドファーストに構える。
パットのストロークの延長のつもりで手首を固定し、ボールを横から払い打とう。

フルショットの練習ばかり積んでもコースではあまり役に立たない

林からの脱出では小さい振り幅で出球の高さや距離をコントロールするテクニックが要求されます。普段の練習ではどのクラブでもフルショットの練習しかしない人がほとんどですが、コースではフルショットができる場面は限られています。せいぜいドライバーでティショットを打つときくらいで、フェアウェイは平らな場所は案外少なく、大抵は傾斜地からのショットとなりますからフルショットができないケースのほうが多いのです。

どんな練習をしておけば、スコアメイクに直結するかがもうおわかりですよね。フルショットの練習以上に、振り幅を小さめに抑えたショットの練習を沢山積んでおくことが大切だということです。

6〜7番アイアンを持ち、胸くらいの高さのハーフショットで打ったらキャリーがどのくらい出るのか。肩くらいの高さのスリークォーターショットなら何ヤードくらい飛ぶのか。あるいは林からの脱出を想定して腰くらいの高さでスイングしたら、どのくらいの高さでキャリーがどのくらい出るのか。こうした色々な場面を想定した練習を多く積んでおくことで、様々な状況への対応力が身につきますし、林からの脱出などの「リカバリー能力」も養えます。

スコアをロスしないためには、リカバリー能力を高めることが重要なポイントであることを理解してください。

フルショットの練習よりも振り幅を小さく抑えたショットの練習を多く積んでおこう。林からの脱出などのリカバリー能力が身につく。

〈POINT〉
・林からの脱出はイチかバチかの作戦を避けるべし
・1打を払って、ボギーで上がることを目標にする
・3打目が打ちやすい場所にしっかり運ぶことに集中
・小さいスイングの練習でリカバリー能力を養おう

取材・文・写真/三代 崇 協力/サザンヤードCC



町島久晴がレクチャーする90を切るための賢いコースマネジメント

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【シリーズ一覧】
●Vol.1コースマネジメントの肝は「いいショットを打とう」と思わないこと
●Vol.2練習場のマットをイメージするだけで方向が安定しやすい
●Vol.3ピンよりも手前のエッジまでの距離を確認しよう
●Vol.4ボギーペースに徹すればパーセーブの回数も増える
●Vol.5フェアウェイの幅を広く使えばティーショットの成功率がアップ
●Vol.6パットを打つときはラインの奥側からも傾斜をチェックしよう
●Vol.7パー5ホールは2打目と3打目のつなぎを考えよう
●Vol.8ドッグレッグは自分の飛距離を計算に入れてターゲットを絞る
●Vol.9バンカーショットは打つ前に近くの芝で素振りして感じをつかんでおこう
●Vol.10フェアウェイが狭いホールはドライバーで打つリスクを考えよう
●Vol.11アイアンショット、これだけのツボを抑えておけば5打縮まる
●Vol.12打ち下ろし&打ち上げは景色に惑わされないで普段通りにスイングしよう
●Vol.13ピンを狙っていいときと狙ってはいけない場面を見極めよう
●Vol.14グリーン周りからは「3打」で上がればOKと考えよう
●Vol.153パットを減らすコツを知ればベストスコアを出せる
●Vol.16風が強い日は風に逆らうだけ損。シンプルに考えてスイングしよう
●Vol.17林からの脱出は、次のショットにしっかりつなげる意識を持とう
●Vol.18パー3は60〜70点のティショットが打てれば、パーだって取れる